総説





四診とは、実際に患者さんを診察することを言います。どのような観点で患者さんを診ていくのかということです。

一元の気として生かされている人を見ていくわけですから、一元の気として診るという全体観が基本的にもっとも大切なことです。







術者にとって非常に重要なことは、決め付けないということです。最初から決め付けてしまうと、それ以外のものは見えなくなってしまいます。けれどもさまざまな予測をしておかなければ見ることもできません。矛盾した予測をいくつか手にしながら行うことが、四診を正確にしていく上での大切なポイントになります。

望診の部位や切診の部位は、全身の集約点となっている〔注:全身の状態がその部位に現れている〕と考えられている場所です。小宇宙としての人間は「天地の運行に比して人には不完全さが強い、大きい傾きがある」と総論の人身一小天地の中で述べていますが、これはさらに一段階小さい宇宙である診察部位についても言えることです。それぞれの小小宇宙としての個性が明確にあるわけですね。

また、個人差もあります。よく気血が動いている場所には反応が出やすいということは、活動的な人間が目立ちやすいということと同じように当然のことであると言えます。反応がよく出ている場所に従って、その患者さんの体質状況をかみわけていく、見えないものは「今は」横においておく、ということが、基本姿勢となります。







ただ、術者の能力不足によって見えない場合もあります。それに対処するには、先づ見えている部分を全体として把握するよう努力し、その幅を広げていくということです。問診などはこれをやりやすい場です。

疾病が起こるということは、必ずしも全身状況の問題であるとはいえません。怪我や事故などをみればそれは明らかです。けれども四診は患者さんの全身状況を注意深く把握することを目的とします。それによって、体質や病情の深さなどを探り、全身の問題と局所の問題とが関連しているのかしていないのか、関連しているのであればどのように関連しているのかということをかみ分けながら、病因病理を明確にしていくわけです。このようにすることによって、患者さんの訴え以外の問題が明らかになることがよくあります。

病気の原因と、病気になっている経緯とを明らかにすることによって、その原因を取り除き、体質を改善していくためのさまざまな方法を患者さんに提示することができるようになります。

四診はその基礎となるわけです。











一元流