寒は冬の主気です。世界に満ち溢れていた生命が姿を消し、次の時代への準備をする時期を主ります。生命の暖かさを滅ぼし尽くして動きのない死の気配が世界を支配します。この世界の中で人は暖を求め狭い場所に閉じこもり、生命の深さを養います。かき消されようとする生命の最後の灯火が、深い魂の奥底に密かに輝き続けています。この気に感応して冬ごもりに入る動物たちもたくさんいます。

気一元の生命を気血でみると、形である血を陰としてそこに根ざした気が陽として立ち働き生命活動を行っています。そこにこの寒気が侵襲すると、生命の陽気を損ないますので、気のめぐりが悪くなって、さまざまな疾病を引き起こすこととなります。取り付いた部位の生命力の低下を直接引き起こすわけです。

生命はこの寒邪と果敢に戦い、死という滅亡から自己を守ろうとします。これが病気となった際の発熱であったり、しもやけの際の局所の熱感としてあらわれます。

風と結びついて風寒の外邪として猛威をふるいます。これに対する治則を述べているものに《傷寒論》という書物があります。











一元流