治療指針:生活提言


手の痺れの弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



最初に手の痺れを感じ始める7~8年ほど前は、仕事で重い物を持つことが多く、腱鞘炎を患っており、その後腱鞘炎自体は治ったものの、重い物を持つと手の痺れを感じるようになっていった。これは手を酷使したことによる経絡経筋病と考えられる。また、この頃は重い物を持つ以外では疲れた時に手が痺れており、これは疲れるという生命力が落ちる状態になることにより、損傷している経絡の弱さがより明確に現れたためであると思われる。しかし、その後の経過を見ると、経絡経筋病の様相は少なくなり、臓腑との関連の方が大きくなっていくように思われる。

その後、しばらくして閉経を迎え、多少ホットフラッシュのような急な頭顔面部のほてりの自覚があったがそれほど気にはせず、手の痺れも続くものの病院では原因もはっきりしなかったので、しばらくこのまま過ごす事となる。それから数年ほどが経過したある日、婦人科の病院で更年期で手の痺れが出ることがあるからとの説明を受け、ホルモン剤が処方され、そのホルモン剤の服用以降、手の痺れが無くなった。

このようにホルモン剤でホットフラッシュのみならず、手の痺れ、手掌の熱感が良くなっていることを考えると、更年期を向かえて出始めた臓腑の問題として、手の痺れが出ていたことが窺える。このホルモン剤を服用していた3年間、重い物を持つなどで負荷を手に掛けても、痺れが出ていないのであれば、最初に述べた局所の損傷としての経絡経筋病の可能性は低くなる。







3年ほど続けたホルモン剤を去年中止して、今年からまた手の痺れが出始める。再発してからの手の痺れは、重い物を持ったり、疲れた時以外でも常時痺れがあり、特に朝は浮腫んでこわばったようになり、痛みで目が覚めるという状態になる。ホルモン剤の服用を中止して半年間全く手の痺れが出ていないのであれば、今年からなぜ急にこんなにも強い症状の痺れが出始めたのかと疑問が湧く。特に朝の手のこわばりが強く、痛みで目が覚めるという状態を考えると、痺証が疑われ、季節的にも風邪を引いて、それをきっかけに発症した可能性も考えられる。

また、温泉で温まると手の痺れはましな気がするということを考えると、温泉で陽気が立つと生命力が高まり、内陥している風邪に対抗することができて、少し症状が良くなるとも考えられる。ファレンテストで痺れ増強、手の平を上に向けてるより、下に向けてる方が痺れはまし、手首のストレッチをやったり、手を振り回すと痺れは楽になるというのは、局所の物理的な気滞の増減よって、症状にも強弱が現れているもので、局所自体が問題でないためストレッチ続けても、一時的な改善しか見られないものと思われる。







ここで改めて全身の状態を見ると、内風の症状であるはっきりと曲がっている歪舌、下腹が平らでのっぺりして板っぽい硬さなど、状態としてはかなり深刻な腎気の虚損が窺える。

また、季肋際詰まり、両太衝 陥凹、心下突っ張りきついなど肝気の強さが窺え、訊いてみると仕事で疲れを感じるし、生活全般に気力でがんばっているとの自覚はあるとのことで、日常的に肝鬱も強いようである。

脾胃の状態を診ると、お通じの状態や食事の状態などからはそれほど損傷は無いと思われたが、足三里の大きな緩み方、上腹が平らでのっぺりして板っぽい硬さ、季肋めくれてる(右<左)ところを考えると、案外脾の損傷もあるのではないかと思われる。

以上のように、痺証の可能性、この痺証を回復できない脾腎気の損傷が深いことを考えると、今後より大きく体調を崩さないためにも、少し身体の手入れをしておくのが良いと思われる。




弁証論治



弁証:腎虚、脾虚

論治:補腎、健脾







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時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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