治療指針:生活提言


ふらつき、右頭~肩の痺れの弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



今一番辛い症状であるフワーッとしたふらつきが最初に起こったのは、約30年ほど前で、親戚のお葬式の帰り道であった。これは、身内のお葬式で気を張って疲れたであろうことが想像され、肝鬱による軽い内風だったのではないかと考える。そしてちょうどその時期は夫が単身赴任中で、子供の学校行事、地域の活動、育児、家事と生活全般において、がんばっていたようで、肝気をよく張っていたであろうと思われ、この最初の目眩以降、時々目眩を感じており、内風がしばしば起こっていたと思われる。肩凝りを昔から感じていたのも、気の上衝が案外強かったからではないかと推察される。

この頃、いつもは変動しない体重が43kgに少し減ったとのことで、脾気も少し落としていたのではないかと思われる。

しかし、もともと腎器はしっかりしていると思われ、目眩がひどくなることもなく、家事の傍らでサークル活動も積極的に参加しており、特に体調を崩すことなく去年まで過ごしていた。







今年に入ってから、時々起こる目眩に加え、手足のジンジンする火照り、足がガクガクする感じ、手の震え、目がショボショボする、のぼせなどが起こり始める。春には、夏の旅行のパンフレットを見るのが毎年の楽しみだったが、体のことが不安でそのパンフレットを見る気にもなれなかった。

このような体調の崩れ方を見ると、陰虚がひどくなり、そのために肝血を養えなくなったと思われる症状である。全体的に大きめの脈という根が弱り浮いているような脈状からもそのことが窺える。

これら今年に入ってから体調がおかしくなったきっかけは、何も思い当たらないということで、本人が言うには、今までがんばってきた疲れがもう年だから出てきたのではないかということである。確かに子供が大きくなるまでは夫が単身赴任の中、家事と育児をこなし、子供が手を離れ、夫が退職して自由な時間ができてからは、自身が楽しむために旅行に行ったりと、傍目からも元気だといわれるような状態で、少しずつ積み重ねてきた無理に加齢が加わって腎気のバランスを崩し始めたとも考えられる。







しかし今まで目眩が時々していたものの、20年近く大きく体調を崩すことなく過ごしてこれたほど腎気のしっかりした人が、今年に入って突然いろんな症状を出し始めるというのは、加齢だけが原因であるだろうかという疑問が残る。症状がいろいろ出始めた時期が冬であったことを考えると、本人は心当たりがないが、気付かないうちに風邪を引いたのがきっかけという可能性も考えられる。またMRIでは分からなかった脳梗塞の可能性も否定できない。

そして7月に入ってからは更に目眩が頻繁に起こるようになっている。先日の台風の日は横になっても目眩がひどく、しばらく寝付けなかったというように、内湿と思われる兆候が出始めている。7月から頻繁になった目眩は、梅雨時期であったことを考えると、今までの内風の目眩に内湿が絡み始め、身体の状態としてはまた一段落ち始めているのではないかと考えられる。

お通じには大きな変化がないものの、朝起きてすぐにトイレ(お通じ)に行きたくなったり、薬を飲むようになって水分を多く取るようにしていること、それでもお小水の回数が増えてないこと、今年の夏は少し体重が増えて46kgになったことなど、脾気が落ちて内湿が溜まり始めているのではないかと思われる。身体の状態を診ても、左足三里の深く大きな溝など、脾気の損傷が案外大きいのはないかと思われる。







また本人は、右頭から肩に掛けての凝りと痺れ感を辛く感じているが、局所的には、右肩が左より下がっていて、右の肩上部は大きく力なく緩んでそげている、右の肩甲骨が外側に開いている、右天リョウの緩み、右魄戸~右膏肓の緩みなど、左よりもかなり弱い印象を受け、経絡経筋病ではないかと思われる。

この右頭から肩の弱り方の原因として、指圧サークルや自分で強刺激を与え続けたために、これ程の左右差が出るまでになった可能性が1つ考えられる。実際、指圧サークルを始めた頃は右肩上部だけに凝りを感じていたのに、右肩甲骨内縁あたりも押すと気持ちいいということからそこも指圧を受けるようになり、今では押さなくても常時右肩甲骨に凝りを感じるというようになり、指圧をして凝りをほぐすのと反して、凝りを感じる範囲が増えていることからも、指圧が局所にダメージを与えていた可能性が窺える。







この右肩の痺れ感も身体の調子が落ちるとの同じくして、今年からひどくなっていることを考えると、生命力が落ち始めたことにより、元々弱い局所に更に気が行き渡らなくなり、痺れという症状を広く呈し始めたのではないかと思われる。

以上のように、今年に入ってから腎気を落とし始めた原因がはっきりしないが、現状としては、腎気が損傷され始めて、脾気の虚損も大きくなり、ふらつきの頻度が増えている可能性が大きい。また、右頭~肩の痺れは、経絡経筋病に臓腑の問題が絡み始めていると思われる。




弁証論治



弁証:腎陰虚、脾虚、右少陽三焦経と右陽明大腸経の経絡経筋病

論治:補腎陰、健脾去湿、右少陽三焦経と右陽明大腸経を温補







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











一元流
しゃんてぃ治療院