若い頃から大食でポッチャリ型だったが、元気によく動けたということは、脾への負担はあるものの脾気は衰えておらず、五臓のバランスもある程度とれていたと思われる。
40代に入り、家庭内での孤独感からくるさみしさを、食べることにより発散しようとして過食になり、体重も右肩上がりに増えていくが、気持ちは癒されずまた食べてしまうというさらなる悪循環へと陥ってしまう。
ここで考えられることは、ストレスを食べることにより発散しようとし、なおかつさらに太ることができるということは、体質的によほど脾気が強いのではないか。
またこの頃から月経が乱れ始めたのは、その過食により徐々に湿痰をためこみ、丈夫な脾気でもさばけなくなり、頭部からの自汗やのぼせなどの上焦の鬱滞を解消するために、月経量を増やすことにより湿痰という邪を体外に排泄しようとしていた事が考えられる。
そして、年齢的に腎気が少し衰える時期にさしかかった事に加え、長年、脾気をフル回転させていたため、その余気を腎に回すことができず、むしろ腎気の助けを借りて腎気不足になっていたことも状況を悪化させる要因となっているのではないか。
その後も生活を改善することはできず、湿痰を月経で排泄しようとするも、過食によるため込みに追いつけず、月経過多により血虚も常態となる。この頃から心血も不足しさらに無気力になっていくことになる。
この状況に長年ため込んだ湿痰が気血の流れを阻滞し、さらなる悪循環をつくりだしているのではないか。
46歳で診断を受けた子宮筋腫は、上述した悪循環の延長として現れた一種のオケツと考えた。
そしてここ一年で、月経の後半に疲れが度々見られ、寝込むことも出てきたのは、更年期で腎気が本格的に衰え始めたことに加え、邪気の排泄による腎気の消耗により、さらなる気虚を引き起こしているからではないか。
そのため、閉蔵作用が低下し、月経期間の延長やさらなる経血量の増加がみられるようになった。
また切診による、全体に細弱で輪郭がはっきりしない脉や章門の抜けなどの情報が正邪闘争に負けかけていることの現われではないか。
このままの生活を継続すれば、排泄しきれない湿痰がさらに上焦で鬱滞し、オケツへと発展し血管障害などを発症する可能性もある。
また、今はまだそれほど進んではいない、脾陰虚や腎器の虚損につながっていくものと思われる。
弁証:腎虚・湿痰困脾・心血虚
論治:補腎・健脾利湿・補益心血
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