治療指針:生活提言


右手が痺れる目が開かない弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



子どもの頃から現在まで手足が冷えしもやけができやすいこと、初経後半年 間生理がなく、その後も周期が長く不安定であることなどから、もともとの 器が小さく陽気も不足しがちな素体であると推測する。中学生くらいから現 在まで夏に汗を背中、お尻、足に異常にかき外出しづらいというのは、気虚 の影響が強く出ていると思われる。

また、器が小さいので常に肝気を張ってがんばらないと生活できない。この ため肝気鬱結(以後、肝鬱とする)となりやすい。旅行では眠れないという ことからも肝鬱になりやすいことが考えられる。生理前は肝気を張り子宮に 気を集め、その力で生理を起こさせようとする。このため他の部位は気虚と なり、生理前3日間は寒くなると考えられる。







大学生くらいから便秘が気になってきたというのは、何らかの影響で脾気が 落ちたのだと思われる。

20代くらいから頭と首の後ろにアトピーが出てきた。器が小さく、常に肝 気をはっているため、気が上衝し頭と首の後ろに症状が集中すると考えられ る。肝の鬱熱による営衛の不調和が原因と思われる。

生理がおこるという状況において、肝気をはり肝鬱となるが、肝鬱は腎気を 損なう。そして腎気が落ちるためさらに肝気をはるという悪循環が起きやす い。冬は寒さにより腎の陽気が不足しやすくなる。このため、冬は肝鬱がき つくなりやすいので、アトピーの状態が悪くなると考えられる。

29歳で第1子出産。母乳もよく出て出産後体調を崩したことはなかったと のこと。その後、33歳の第2子妊娠中に妊娠中毒症となり、9ヶ月目で帝 王切開となった。二度目の出産はご自身にとってはかなり負担だったと思わ れる。しかし、このときも母乳はよく出て、出産後体調を崩したことはなか ったとのこと。

若かったから小さな器ながらも、器の許容範囲内で生活し、うまく出産前の 状態まで体力を回復できたのではと思われるが、便秘やアトピーが回復する には致っていないので、脾腎が養われたわけではなかった。







やがて年齢が進み器の脆さが出て来る頃、全身の気虚がきつくなっていく。 気虚は気滞を起こしやすい。

44歳くらいには、脾気虚から左下腹に気滞が起こり、詰まった感じ、便秘 が生じたが、この気滞が熱を生じ、下痢、出血などの炎症症状が出た。この とき、3、4ヶ月下剤を飲むが、下剤は冷やして通じをつけさせるため、脾 気はさらに損傷されていくこととなる。

脾気が落ちることにより腎気の負担が増えるが、更年期に近づき腎気も脆く なる時期である。

そして、45歳、ごたごたが重なることにより、肝鬱から腎気をさらに落と し内風が生じたため、めまいが発症したと考えられる。内風によるめまいの ため、上焦の気を動かす動作(頭を動かす)を行うとめまいが起きてしまう。 3日で激しいめまいは落ち着いたが、フワフワするめまいは残ったままで、 内風は完全にはおさまらずにいた。

同時期に眼振が見つかったが、眼振というよりまぶたがパチパチして長く目 を開けていられない状態である。これは、内風により気が乱れているためと 考えられる。







その後、46歳では食べるとお腹が膨れてゲップを出したい感じが起きはじ めた。

消化のために脾胃に気が集まり、気虚であるためそこで気滞を起こしてしま うからと考えられる。

47歳では、右肩甲骨の内側が凝って、右手に痺れが出るようになった。 これも、気虚がきつくなり、気滞が起きやすくなったからと考えられる。右 手の疲労が気虚のためきつく出ている可能性もあるが、気がつかないうちに 風邪をひいている可能性も考えられる。







48歳5月になると更年期症状が出てきた。ホットフラッシュは少しだが、 めまいがひどくなった。気虚が進んだため肝鬱がきつくなりさらに腎気を落 とし内風が悪化したと考えられる。

このため、生理中や排卵日は、肝鬱がよりきつくなるので動けないほどのめ まいとなる。また、内風の影響により肝気が乱れ、ウエストの部分にアトピ ーが出た。

女性ホルモンを飲むことによって一時的に腎気がたち、ウエストのアトピー は良くなった。しかし、薬剤により少ない腎気を無理にたたせているため、 腎気の損傷が進みその影響で気虚がきつくなっていく。もともと夏に気虚の 影響が出やすいが、この後の夏はめまいで寝込むほどになり、体重が3kg 減ってしまった。

ただ、食事量が少なかったことが脾気を護ることにつながり、便通はコンス タントにあったのだと思われる。

寝込んでいた頃、気虚により歯茎がむずがゆいという症状が出た。







暑さが少し落ち着いてくると、起きられるようになったので朝少し家事をす る。

このことはこの患者さんにとっては、かなり肝気を張っていると思われる。 肝気を張ることによりさらに気虚がきつくなったので食事をとることによる 気滞もきつくなり、お腹が動かないという状態になっていった。このため便 秘が起きるが、歯医者へ行くと下痢してしまうというように、肝気を張りす ぎることにより肝気犯脾となり逆に下痢になることもあり便通が安定しなく なっていった。

11月下旬、急に右手の痺れがきつくなり、首を前に倒していないと血が通 わなくて痛いくらいに痺れるようになった。きっかけはヨガのポーズが首に 負担になったのではとのことである。気虚がきつくなっているので、何気な いヨガのポーズでも気滞が強調された(経筋を傷め経絡経筋病を起こした) 可能性がある。

左右太淵冷え、左右列缺そげ、右天柱硬結、右風池硬結、右風門陥凹、右肺 兪陥凹などから気虚がきつく出ていると考えられるが、風邪の可能性も捨て きれない。

食欲はないが、食べると美味しくてもっと食べたいというのは、気虚のため 食欲を感じないが食べることによって胃に生命力が集まり熱を生じるからと 考えられる。




弁証論治



弁証:脾腎の虚を主体とした全身の気虚 肝鬱 内風

論治:建脾 補腎 最小限の理気







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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