治療指針:生活提言


爪もみで悪化した潰瘍性大腸炎の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



子供の頃から、下痢をしやすく、とくに精神的なストレスや負担があると、途端に下痢をしていたことから肝気犯胃の傾向であったことを読み取ることが出来る。

潰瘍性大腸炎と診断される1年前の春、17歳高校生のころにも、部活のストレスや環境の変化で、下痢腹痛が継続すると言う状態があったことから、子供の頃からの肝気犯胃の傾向は持続しており、この時期の心身のストレスがそれに拍車をかけたものと疑われる。

18歳で大学入学。大学という新しい環境は、精神的にとても負担になり再度肝気犯胃の状態を引き起こし腹痛下痢の症状を引き起こした。脾胃への負担だけであれば、17歳の高校時代のように一時的な問題で解決できるはずであるが、ご本人にとっては、大学への通学は、とても疲労したと感じるほど肉体的な負担であったため腎気までにもおよび長く続く下痢となっていった。







そういった肝気犯胃の状態、腎気への負担が続く中、風邪を引いた。

どのようなタイプの風邪であるのかは判然としないが、外邪である風邪を追い出すために、 肺気を充実させる必要があった。

肺気の生命力が充分であれば、他からの応援は必要はないが、気虚気味の素体であったため、肺気だけでは足らず、他の生命力を借り、陰気を踏みしめ陽気をたて生命力を賦活する必要があった。このため、肝気が主導となり脾腎の陽気をたかめ上焦に導びき、上焦は充実し、風邪はなんとか治まった。

けれども、気虚の素体であったため全体の生命力の総量が足りず、上焦に生命力が集まれば、相対的に下焦の生命力は 薄くなった。この全身の気の大きな偏在が患者さんにとって非常に大きな負担とり、素体の気虚がますまず進み、 もともと弱っていた脾腎はまたさらに弱り、下痢腹痛が継続することとなった。 とくに下痢は明け方からおこり、腎の陽気不足として明瞭にあらわれている。

高校卒業時期に風邪を引き、生命力が上焦に集まり気味となり、相対的に下焦の気は薄くなっていた。その後大学に入学。大学という新しい環境は、精神的にとても負担になり再度肝気犯胃の状態を引き起こした。風邪のため下焦の気が薄くなっていたこともあり、腹痛下痢の症状を引き起こした。その上、大学への通学は、とても疲労したと感じるほど肉体的な負担であったため腎気にも負担となり、長く続く腹痛下痢になった。とくに下痢は明け方からおこり、腎の陽気不足として明瞭にあらわれている。そして潰瘍性大腸炎との西洋医学的な病名を受けるに至った。







西洋医学的な治療により、下痢腹痛の症状はいったん治まったものの、脾腎を中心とする全身の気虚は補われることなく継続していたため、ぐずぐずと症状は続き、19歳の秋にはステロイドの内服でも症状が治まらず、冬になり寒くなって腎の陽気不足がより明瞭となると症状が悪化。薬を変えることでおちつき、1年ぐらい調子がよかった。

21歳の時にも就職活動などのストレスがきっかけで再度肝気犯胃が強くおこり、症状が発症、脾腎が支えきれず症状が悪化、入院の加療や休息によって気血がある程度回復し落ち着いた。しかしながらやはり脾腎は補われることがなかったので、また22歳の秋にも悪化し入院による回復という経過をたどっている。







24歳の時には1月にインフルエンザにかかった。強い気の上逆は胃をつきおう吐を伴い、上焦に生命力がより一層集まり、下焦の脾腎の生命力はより薄くなった。強い気逆を伴う風邪は大きな気の偏在をうみ、ふたたび全身の気虚が一段とすすみ、2月になりより悪化。絶食して脾気をやすめ、ステロイドで虚熱を納め、その上、人工透析による顆粒球除去によりなんとか症状がおちつくといった状況になっていた。

6月、月経がおこったことをきっかけに再び下痢腹痛が発症。脾腎両虚を中心とする全身の気虚が補われないままの状態で月経がきたことにより、下焦の生命力が月経とともに排出される状況となったものと考えられる。このため下焦の生命力が薄れ、腎気がおち、腎の陽気すなわち全身を温煦する力が低下したことによって脾の陽気も低下した。さらに脾の統血作用も低下したため下血が発症、気血の消耗はより急速となり入院、再度透析による治療を受けるに至った。症状のきっかけとなった月経を、半年ほど止めるホルモン治療を受けるに至りなんとか小康状態を得た。

小康状態を得ていて、調子がよいと言う状態でも、朝起きると下痢になり、日中は治まっている程度という腎の陽気不足は非常に深刻な状態であった。







同じ年の2011年9月末、免疫力をあげるということで、ご自身で爪もみ療法を開始。 下痢が1日10回とひどく発熱、体重の減少も引き起こされた。爪もみ療法によって、末端に気が引かれ、中心部である腹部の気が薄れたため、下痢が発生、起床前の4時、5時に下痢で目が覚めるという腎の陽気が非常に不足している状況となっていった。生命はなんとか陽気不足に歯止めをかけようとがんばり発熱をしたが、それもかえって気血両虚をより一層すすめ下痢腹痛は止まらず、体重の減少となってしまった。

体表観察をすると、全身の経穴の反応があまりみられない。皮膚もかさかさし肌肉の養いの不足が明瞭である。また舌も歯痕胖嫩。これは、全身の気虚がきついため、末端である皮膚表面には経穴反応がでるほどの生命力がないことを示していると思われる。全身の気虚でありながらも、肝気をなんとか奮い立たせて毎日をおくっているため、肝鬱がきつく舌裏には怒脹がきつい。

背部腧穴の心兪の大きな陥凹は脾腎両虚を中心とする気虚の中、肝腎の不足により、陰虚熱が発生しやすくなり、心陰を養えない状態をあらわしている可能性がある。左右の三焦兪の陥凹、復溜の冷え、外関の冷えからも、腎の陽気不足、腎気不足は明瞭である。




弁証論治



弁証 気陰両虚

論治 益気補陰







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











一元流
しゃんてぃ治療院
ビッグママ治療室