治療指針:生活提言


更年期からの不眠の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



学生時代からあまり体力がなく、よく風邪をひいていたということや、出産まで 月経が年に2,3回しかなかったという問診内容から、腎気の充実が遅かったこ とがうかがえる。

にもかかわらず、結婚後すぐに妊娠し出産も無事にされていることを考えると、 この方の場合は、「完結しない自己」が、結婚することによって精神的・肉体的 な安定状態となり、遅れていた腎気の充実を促した。さらに妊娠も子宮を充実さ せることになり、これも腎気の充実を後押しして、その後、体力がついていった のではないか。

出産後に月経が年10回位あるようになったことは、腎器の大きさは十分では ないにしても、この方なりに腎気は充実していたことを裏付けている。 また小さい子供を二人抱えての海外転勤でも体調を崩していないことから、この 時期には相当体力があったことがうかがえる。







40代になり両親の世話を一人ですることに対する精神的・肉体的ストレスと、月 経の回数としては表面化してはいないが、腎気が緩やかではあるが下がり始めた ことが重なった。その結果、肝陰を傷めることとなり、肝陰と肝陽のバランス を崩すことになる。そして、肝気が裏に帰れず不眠となり、同じ理由で気逆とな って、のぼせや多汗などの症状がでてきたと思われる。

46歳で転倒して顎を打ち側頚・左肩から上肢(大腸経)にかけてシビレが出て、 その後回復できていない。

外傷による局所的な気滞やオ血があると思われるが、前段の全身レベルでの気の 偏在があるために、局所の滞りを回復することができないのではないか。

また、常に感じる鼻づまりや尺沢の湿りなどから、風邪の存在も捨てきれない。 風邪の内陥があるとすれば、局所的な滞りが治りにくいことの一因と考えられ るが、現時点の情報では、一つの可能性として留めておきたい。

47歳になり腎気が本格的に落ち始め月経の回数が半分になり、ますます肝気を張 りやすくなってきた。息子の世話で腎気を養うはずの睡眠が不規則になり、お酒 や薬で強引に眠るため、さらに脾気・腎気に負担をかける。 そしてこの時期に疲労感や体重減少を訴えクリニックを受診している。

腎虚をベースとした気虚によるものと思われるが、現在見られる歯痕舌や体 重が回復したのに疲れやすさが取れないことから、この気虚はいまだ解消され ていないものと思われる。







今年に入ってからはお酒や薬でも眠れない日があるということだが、この時期 には腎虚が深くなってきたことにより、陰虚熱が心に及んだのではないか。

時を同じくして口内炎、味覚異常、動悸など心火の影響をうかがわせる症状も出 てきている。

切診の右膏肓:硬結、左心ユ:スジ張り、左郄門:張りなども心への影響を 裏付けている。

また40代後半で物忘れが出だしたり、脉:右尺沈弱、腎ユのゆるみ(左>右)、など は、腎虚が深くなってきている現れではないか。




弁証論治



弁証:腎虚を主体とした全身の気虚

論治:補腎







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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