治療指針:生活提言


肩、腰の痛みの弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



以前から介護の仕事をやりたかった ということからも、世話好きでいつも肝気を 張っているタイプと考えられる。しかし、気を使った後は調子が悪くなるという ことから、肝気の張り方がきついのではないかと推測する。

また、便通が日に2回(多いときは3回)あり、食べた分も体重に反映できるこ とから、脾胃の器は大きいと思われる。







34歳で介護の仕事を始めるが、中腰が多くなり慣れない姿勢の疲労から半年後 にぎっくり腰を起こし、病院では左側のヘルニアと言われた。経絡経筋を傷めた わけだが、このときすでに気疲れにより肝鬱から腎気を損傷し、腎気損傷がさら に肝鬱を引き起こし、腎虚肝鬱の悪循環となっていたために治り切ることができ ず、現在にわたって左足に坐骨神経痛が残ってしまっている。

35、6歳のころは、収入が安定しないので、昼間はディサービス、夜は冷凍倉 庫で働く。夜間も働いて睡眠時間が少なかったことと、冷凍庫で冷えたことで、 さらに腎気は傷めつけられ、不眠の症状が出現するようになった。このころから 食事の量が増えていった。腎気の不足を丈夫な脾胃を使って食べることによって 補おうとしたのだと思われる。

さらに、このころから口の渇きも出るようになったが、生命力がきちんと上焦に 行き届かなくなってきたと考えられ、腎虚から全身の気虚になったと推測する。 37歳から不眠のための薬を飲みはじめるが、強い薬でも長く眠れないほど肝気 がたち、すなわち腎虚はかなり深くなっていると考えられる。







38、9歳で夜勤(月に5回)のある介護の仕事に変わったため、冷凍倉庫の仕 事はやめた。冷えることはなくなった分腎気の負担はへったが、夜勤があるとき は27時間勤務となるため、疲労はやはりきつく、腎気そのものが回復するまで にはいたらなかった。

41歳の時にディサービスの仕事に変わった。夜勤は月1回だが、送迎もあり、 気を使うし体力も使う。このころ体重は現在と同じ98gになった。食事時間が 不規則であり噛まないことが多いなど、脾胃への負担から、食後にお腹が張った り胸焼けがしたり、大便が出きらない感じがすることがあるなど、脾胃も疲労気 味であることが伺える。







42歳12月に職員がやめ、夜勤が週2回に増えた。このころから眠れてきた (とは言っても短時間で目が覚めなくなったわけではない)ので薬が弱いものに 変わっている。疲労で腎気が落ち、全身の気虚が進めば肝気がたちやすくなり、 さらに眠りづらくなるのではと考えるが、これに反して眠れてきている。これは 肝気をたてなくてもよくなったのか、肝気をたてようとしてもたてることが難し くなってきたのか、考えるに後者ではと推測する。

前後して尿の切れが悪いなど(ご本人は年齢的なものと思っているが)腎気落ち が進んでいることからも、このころに何か大きな変化があったのではないか、す なわち疲労により風邪を引き、その風邪が内陥したのではないだろうか。腎気の 不足により、風邪を追い出そうにも陽気をたてることができなくなってしまい、 これが肝気をたてようとしても肝気がたちづらくなってきた原因ではと推測する。

この後、友人の介護をしたりしてさらに忙しくなり、もっと眠れるようになって きた。疲労と風邪の内陥により腎気はなお落ちているはずである。こうして、さ らに気虚が進み、よけいに肝気をたてることができなくなってきたと考えられる。







そして、43歳4月(2週間前)肩や腰が徐々に痛むという主訴が出現。負担の かかる腰を治そうとして、生命力が集まったが全身の気虚がきついため、気の偏 在が起きやすく、その場で鬱滞を起こしてしまったと考えられる。このため、腰 の熱感がきつかったのだろう。

また、肩の痛みは昼間仕事をした後にひどくなるとのことで、仕事をすることに よって気逆をおこし、上焦に集まった気が、やはり気虚のためその場で鬱滞を起 こすからと考えられる。







なお、太淵の発汗、大椎の冷えなど、切診情報から風邪症状が見受けられる。 この風邪が、このときたまたま引いていたものか、内陥している風邪かは区別が できなかったが、内陥している可能性は高いと思われる。

現在は気持ちを切り替え転職し、夜勤のない仕事に変わっている。腎気が養われ 内陥した風邪も抜ければ、回復傾向に転じることができると思われる。




弁証論治



弁証: 腎虚を主体とした全身の気虚 風邪の内陥

論治 益気補腎 去風散寒







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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