治療指針:生活提言


すぐに具合が悪くなる弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



昔から運動していると調子がよい、運動しないと何かが溜まる感じがある ということから、この方は、もともと肝気が鬱結しやすいタイプと思われる。

また、緊張したときや集中したときにも調子が悪くなることから、肝気の 張り方が強いことも伺われる。







24歳のとき、生理痛のため鍼灸治療に通い始めた。生理痛自体は生活に 支障が出るほどではなく、ときどき薬を飲む程度であった。

26歳には、それまでのキューと絞られるような痛みから、鈍痛に変わった。

これは鍼灸治療によって、肝鬱が払われたためと考えられる。

26歳で鍼灸学校に通い始め、27歳で結婚・引越と、環境の変化が重なった。

この頃、ご本人の自覚にもあるように、家事や鍼灸の勉強をがんばっていた。

そのように肝気を張ってがんばり続けた結果、肝気の支えとなっていた 腎気も弱り始めた。腎気が弱ると、より肝気を張らないとがんばれなくなり、 さらに腎気が弱るという悪循環に陥った。

これが主訴1(やる気が出ない、がんばれない、疲れやすい)の出現した 背景と考えられる。







そうして腎虚が進み、腎のバックアップが減ったため脾胃も弱くなり、 消化がうまくできず、便がゆるく、臭いもきつくなった。

また、肝腎同源というように、腎は肝陰を支えており、腎虚が進んだことに より肝陰も弱り始めた。そのため肝陰は肝陽をおさめることができなくなり、 うまく眠れなくなったのだと考えられる。この頃は肝鬱もきつく、生理前 (高温期)のイライラ・異常食欲・胸の張りがひどくなっていた。

そしてまた、腎は体全体の中で見ると陰中の陰であり、腎が虚するということは 体全体で見ると陰虚であると言える。陰虚により虚熱が発生しやすくなり、 この虚熱に肝気が影響して気の上逆が起きている(奔豚症状)と推測した。

29歳の3月には鍼灸学校を卒業、同年5月、体調もどん底まで悪化したが、 この頃から漢方を飲み始めるとともに、生活習慣の改善にも取り組み、 少しずつ回復していった。他に、勉強の負担が減ったことも回復の要因と 思われる。

ただ、奔豚が定期的に起きていたことから、腎虚の回復までには及んで いなかったと考える。







31歳の3月、東京に引越し、再び環境が変わった。都会の暮らしに慣れる ため、(ご本人にあまり自覚はなかったが)再び肝気を張ってがんばり 始めた。そして、じわじわと腎虚が深くなっていき、11月頃から奔豚も 増え始めた。

12月にはベリーダンスのレッスン中、奔豚を起こした直後に失神した。 腎虚により全身の気虚が進んで、生命力が全身にいきわたることが できなくなっており、奔豚症状をきっかけとして頭の気が不足したと 考えられる。

失神の後一週間は毎日のように奔豚が起きていた。そして失神以降、 心身ともに不安定で、すぐに具合が悪くなるようになった(主訴2)。

全身の気虚のため、少し活動しただけですぐに気が不足し、起きて いられなかったのだと思われる。また、肝気の張り方も強いため、 刺激があると過敏に反応し、気を消耗していたのかもしれない。







32歳の3月、自律神経の薬と抗不安薬を服用し始め、副作用で生理が止まった。 同時に奔豚症状も減少した。生理を起こす際の腎気への負担が減ったためと 考えられる。

同年7月、東京から愛知の実家に戻った。病院の検査でストレスを受け、 再び体調を崩すも、それが終わると食欲も戻り、体重も2~3kg増えた。

自律神経の薬と抗不安薬の服用を止めると、生理は再開したが、奔豚もまた 定期的に起こるようになった。生理を起こすことは、この時点ではまだ腎に とって負担であったと思われる。

33歳12月現在、奔豚症状は残っているものの不調の波は小さくなっている。

実家でストレスの少ない生活・無理のない生活を送ることで、腎気も 少しずつ回復してきていると思われる。しかし、奔豚がまだ起きていると いうことは、腎虚もまだ深い状態なのであろう。




弁証論治



弁証:腎虚

論治:補腎







主訴:問診

追加の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











一元流
しゃんてぃ治療院
ビッグママ治療室