弁証:治療指針および処置弁証:治療指針および処置


交通事故後遺症の治療
痛みの生理と病理




損傷部位はスライド【06】の通りですが、痛みの範囲は【07】となります。

痛む範囲が圧倒的に広いことがわかります。

交通事故で大きな怪我をしているのであるから、修復するための痛みが出るのは正常な範囲であると考えるべきでしょう。しかし、その痛みが衰えず、かつ夜も眠れないほど激しいものであり、損傷部位以外にも広がっているという部分は、病的な痛みであると考えなければなりません。

その病的な痛みの理由は、

1、その損傷部位を修復しようとして過剰に気血が集まったことによるもの

2、本人の肝気の強さがさらに損傷部位に注目を強くしたことによるもの

3、肝気の上逆によって損傷が強くない頸肩部にも痺痛が出た。

4、損傷部位の修復のため腎気が使われることによる腎虚によって、生命の中心である腎気が虚し、虚したためにさらに損傷部位に気血が集まるという悪循環をおこしている。

と考えました。







この局所の状態は拒按という観点からは実とされるものです。けれども、事故によってその部位の生命力が損傷させられているという観点からいえば、明確な虚損状態です。

これをどのように考えるかというと、外傷によってひどく虚損している部位を修復するために、「生命力が過剰に集まっている」。そのため、仮りの実を表現しているということになります。

生命力が局所に集まらなければ修復作用が遅くなります。生命体であれば、損傷部位を修復するためにそこに生命力が集まるのは当然のことです。これを、は生理的な範囲の痛みと呼びます。

これに対してこの症例のように、生理的な痛みの範囲を越えて激しい電撃痛がある場合、これを病理的な痛みと呼ばなければなりません。この病理的な痛みについて、その理由を考えていく必要があるわけです。

結論から言えば、これは実体の虚を補修するために過剰に生命力が注ぎ込んだことによる実という状態にあることになるでしょう。

この実が、「邪実ではない」というところに注意が必要です。







以上のように考えて、

1、生命力の中心が虚している

2、損傷部位に過剰に生命力が集まっている

3、気逆を起こしている

という三点に着眼しました。







生命の弁証論治:概要

事故前後の状況および経過

症状固定時の状態

来院時の状態

受傷前後の全身状況の比較

悪化緩解要因

痛みの生理と病理

弁証:治療指針および処置

直後効果

生活提言:治療経過

結語











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