10代から腰痛や側湾、鼻炎があり、腎気の弱さを感じさせる素体であり、生理周期も30-40日ぐらいであったが大きな問題もなく成長していた。
結婚後32才より妊娠希望はあるもののなかなか妊娠せず、6年後の38才より体外受精をはじめるも、妊娠出来ず。
体外受精をはじめてのちに、頭からの皮膚炎、唇の皮がむける、顎関節症になるなど、 脾気への負担、上焦の鬱熱などの症状が出ている。これは不妊治療の負担が腎気に影響し脾気への負担となったのではないか。また腎気の不足とストレスそのものにより肝気が立ちやすくなり上焦に熱がこもりやすくなったのではないかと思われる。この皮膚炎は甘いものを食べると出てくるので、直接的には脾気の弱さが原因だが、体外受精を始めてから出現しているので、全身の器がひとつ小さくなったことにより脾気へのバックアップがおちたこと、肝気も立ちやすくなったことで症状が出現していると考えられる。
初診時にお身体を拝見すると、皮膚全体が薄く少し荒れており、また背部の脾兪、胃兪、腎兪が大きく陥凹し、中央にある背骨が側湾(だけではなくねじれているような不安定さがある)しており、上背部は少し腠理の疎があり肺兪風門は、陥凹、骨盤部の皮膚は冷え、薄く固い。そして末端の経穴反応はあまりめいりょうではない。
脉状も全体に甘く、舌は淡白歯痕胖大であり、脾腎を中心にした弱さのなか、皮膚、末端の養いが不足していると思われる。
脾腎の器が非常に小さいので、甘いものを少し食べると脾気への負担となり内湿を生じ、腎気への負担ともなり肝気が立ちやすくなり上焦への熱感となりやすい。この状態で大きな愁訴がないのは、ご本人がそれなりに、睡眠、食事、無理のない範囲での生活と心がけているからだと思われる。
妊娠に関しては、採卵して受精卵そのものは良好の状態で出来ているが、移植しても妊娠しないということである。現時点の体表観察からは背部腧穴にうかがわれる弱りが非常にきつい。脾腎を中心に子宮への生命力をあつめていき、妊娠、妊娠の継続をはかりたい。
弁証:脾腎を中心とした気虚
論治:益気補脾 補腎温養 温養子宮
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