東洞流腹診




このファイルは、吉益東洞流の腹診書である、吉益東洞著の『起老園先生腹診述法』と奥田鳳作著『長沙腹診考』および付録の『東洞翁書翰』の全訳です。

吉益東洞(1702年~1773年)はいわずとしれた日本古方派の元祖であり、傷寒論による腹診において一家をなしました。

『傷寒論』に基づいた腹診術は、稲葉克文礼、和久田寅叔虎による『腹証奇覧』『腹証奇覧翼』の方が図がきれいなこともあって有名です。けれどもそれらが東洞流腹診術をよく伝えていないのではないかという批判もかまびすしいところです。

そこでここに、吉益東洞自著による腹診の概述書『起老園先生腹診述法』と、直伝の弟子筋にあたる奥田鳳作(1811年~1849年)の『長沙腹診考』を訳出しました。

奥田鳳作は、吉益東洞の高弟である岑少翁(みねしょうおう:1731年~1818年:吉益東洞の高弟で腹診に熟達していた:尾台榕堂の師でもある)の直門で長田徳本流の名医でもある磯野弘道(希声翁:1772年~1847年:長田徳本を発掘し研究した磯野原泉(1742年~1817年)の息子:腹診で名をなした:禊教の教組である井上正鐵の医学の師でもある)に真古方を学んでいます。東洞流腹診術正統の奥義をきわめた人こそが奥田鳳作であると言えるでしょう。

※磯野弘道については、荻原稔氏のご教示によるところが大きいです。ありがとうございました。

※奥田鳳作(1811年~1849年)の没年について、大浦宏勝氏の指摘により訂正しました。



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