臍下を按ずると、塊を手に感じて自若しているもの〔訳注:しっかりとそこにある感じのもの〕は、大黄牡丹皮湯が主ります。
このような毒があるものは、淋疾や痔疾を患い、膿血便をする症です。梅毒や癰疔を発するものにもこの処方は高い効果があります。
大承気湯 桃核承気湯 大黄甘遂湯の腹状も大同小異です。世に婦人の血塊と呼ばれているものにはこの症が多いものです。この症に処方が合っていたとしても、沈痼の病〔訳注:古く根付いている疾病〕なので簡単には治りません。けれども妄りに処方を変えてはいけません。
私は、項背に葛根湯 胸中に瀉心湯 心下に木防已湯 少腹に大黄牡丹皮湯を、家塾の四剤と極めて〔訳注:決めて〕います。この四方を、腹候を審らかにして熟試する〔訳注:熟練する〕ならば、天下の疾病の半ばを治すことができます。
世の中では、大小便が秘閉することによってついに死ぬものの数が多いものです。私は、調胃承気湯 桃核承気湯 大黄甘遂湯 大黄牡丹皮湯に飛龍丸を兼用して、少なからず即効を得ています。
飛龍丸方 大黄 軽粉 二味 十分 糊九または蜜
徳本翁の秘方だと言われています。痼毒〔訳注:深く根付いている毒〕を治します。五六分〔訳注:2~3g〕から一銭二銭〔訳注:5g~10g〕に至ります。臍傍の結毒を証拠とします。
諸眼疾 諸瘡毒 大小便閉 霍乱 不吐不下 膈噎翻胃 胸飲痛 大食停 その他の沈痼の病を治します。
この処方の応用は非常に広いものです。
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