悪露不絶




胎盤が娩出された後、陰道を通して子宮内の余分な血液や濁液が排 出されますが、3週間以上たってもまだだらだらと出続けているものを、 「悪露不絶」あるいは「悪露不止」「悪露不尽」などと呼んでいます。







悪露とは、産褥期間に陰道から排出される、余分な血液や濁液の総 称です。正常な悪露は、その初期には紅色で、徐々に色が薄くなっていき ます。特に臭いはなく、産後3週間もたつと一般には完全に排出されてし まいます。もし紅色の悪露であってもそれが3週間以上たってもだらだら と続いている場合は、何か異常があるのではないかと考えなければなりま せん。

この症状は、悪露の量が少ないということがその特色の一つとなっ ています。しかし、もし出血がいつまでも続いて止まらない場合は、血を 失うことで気も消耗されますので、気が血を統摂しなくなって出血の量が 増え、陰血の消耗をさらに重ねさせることになることになります。また、 産後、正気が虚することによって悪露が止まらないと、子宮がしっかり閉 じないため、寒・熱・湿といった邪気によって、直接陰道や子宮が侵され ることがあります。さらにこの邪気と余分な血液や濁液とが互いに結びつ くため、正気と邪気とが互いに争いあうことになります。また、湿と熱と が強く結びつくと、血瘀によって気滞が生じますので、ただ悪露 不絶が治りにくくなるだけでなく、産後発熱といった他のさまざまな変証 をおこすことになります。ですから、臨床に際してはよく注意して対処し ていく必要があります。









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