三焦





三焦は六腑の一つですが、実際的にある特定の器官を指しているものでは なく、人体を上中下の三部位に区分して、これを総称したものを三焦と名 づけているのです。三焦はまた別の見方をすると、人体における臓腑・気 血・経絡間の内と外とを調えるための、動的な関係を表わしている特殊な 器官であるとみることもできます。そのため、三焦には特有の生理的な作 用があると考えることができます。三焦という概念はこのように中医理論 の大きな特色をなしているものなのです。三焦のうち下焦の部位には女性 特有の器官がありますので、婦人科の病変部位を考えていく上で、この下 焦の機能をしっかり把握しておく必要があります。

《難経・三十八難》には、『腑に六種類あるというのは、三焦のことを言 っています。原気の別であり、諸気を主持し、名前はありますが形はあり ません。』とあります。この言葉は、三焦が気化を主るということを明確 にしている言葉です。三焦の機能が調っていれば下焦も病むことがなく、 衝脉や任脉も下焦の病の影響を受けて侵害される心配がなくなります。









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