発汗の有無を問う場合も表裏を弁別しなければならない。
表邪が盛な場合は発汗しないことが多い。
しかしそれに反して発汗が有る場合は、邪気が汗に隨って去り表邪がすでに無くなっているのである。これは当然の理である。邪が尽きたために発汗し、身体が涼しくなって熱も下がるものは、邪気が去ったのである。
邪気が経にあるのに発汗が皮毛からしか起こらない場合は、真の発汗ではない。発汗後、邪気が少し減っても完全には無くならず、まだ余邪が残っているのである。
こういうものを、発汗したからといって表邪が全て無くなった、などと言ってはいけない。
脉と症状によって正確にこれを弁別しなければならない。
一、温暑等の証のものには、邪気が原因で発汗するものがある。
発汗しても邪気が去っていないのであるから、全て表証である。表邪がとれなければ、外には経脉に害が及び頭や身体が疼痛し、内においては臓にその害が及び、胸膈に躁煩を生ずる。
表にあるのか裏にあるのかということは、その症状によって判断する場合と、緊・数などの脉によって判断する場合とがある。
どちらにせよその真仮・虚実のどれが問題でどれが問題ではないのかをよく弁別して治療していかなければならない。
一、表証が全く無い場合。
陽虚によって発汗するものは、その陽気を充実させればよい。
陰虚によって発汗するものは、その精を補益すればよい。
火盛によって発汗するものは、これを涼すれば自然に癒える。
水分を取り過ぎたために発汗するものはこれを清すれば治まる。
このように汗証の陰陽表裏はよく弁別しなければならない。
汗証についての詳細は傷寒門に載せている。
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