八脉経色の説




そもそも十二正経の色は《素問・経絡論》で明確にされています。奇経八脉の色もまた、その並んで流れる十二正経の色と同じになるはずです。

すなわち陽維・陽蹻は足の太陽経の色と同じであり、陰維・陰蹻は足の少陰経の色と同じであり、衝脉は足の少陰・陽明経の色を兼ね、帯脉は足の少陽の色と同じであり、督脉は諸陽の色を兼ね、任脉は諸陰の色を兼ねるということになります。

けれども銅人を作成して奇経八脉の色を描く際には、その色彩が上記のものとは異なっています。これは、同じ色が増えると区別をしにくくなるためです。詳しくは以下に著します。






銅人形における奇経八脉の彩経の方法




任脉:

会陰から承漿に至る二十四穴すべてに銀点を用いています。



督脉:金泥

会陰の際から齦交に至るまで全部で二十八穴に点しています。

中枢の一穴は、朱点を用い他はすべて金点を用いています。



陽蹻脉:薄墨

申脉から始まり僕参まで引き、僕参から直ちに跗陽・陽交・環跳・居髎に引き、維道・五枢・章門の傍らまで引いて、直ちに臑兪・肩髃に至って巨骨に引き、巨骨から人迎に引き、人迎から顔に上って、直ちに地倉・巨髎・承泣・四白に引き、睛明まで引き入れて止まります。

申脉・僕参・跗陽は黒点。陽交・環跳・居髎は緑点。臑兪は朱点。肩髃・巨骨は金点。人迎・地倉・巨髎・承泣・四白は黄点。睛明は薄墨点。これは、その色で、会する本穴を明らかにしています。以下これに倣っています。



陰蹻脉:墨

然谷から始まり、太谿・大鐘・照海・水泉に引き、水泉から復溜・交信・三陰交に引き、三陰交から築賓・陰谷に引いています。すべて、腎経の流れのようにしています。陰谷から直ちに会陰の傍らに引き、任脉の傍らを導いて、横骨に上がり、直ちに肓兪・幽門に引き、さらに歩廊・兪府に引いています。すべて腎経の流れのようにしています。兪府から斜めに天突の傍らに引き、任脉の傍らを導いて頤に上り、直ちに地倉の内に並んで睛明まで引き入れて止まります。

然谷・太谿・大鐘・照海・水泉・復溜・交信は墨点。三陰交は黄点。築賓・陰谷・横骨・肓兪・幽門・歩廊・兪府は墨点。



陽維脉:朱

金門から始まって申脉に引き、申脉からことごとく陽蹻と並んで引いて臑兪に至り、斜めに臂臑に引き、臑会・天髎・肩井に引いて上り、肩井から風池に上り、風池から直ちに脳空・承霊・正営・目窓・臨泣・陽白に引き、陽白から反って本神に引き上げて止まります。

金門は薄墨点。臑会・天髎は紫点。肩井・風池・脳空・承霊・正営・目窓・臨泣・陽白・本神は緑点。他はすべて陽蹻を参考にしてください。



陰維脉:紫

築賓から始まり、陰蹻と並んで陰股に引き上げ、会陰の傍らから斜めに府舎に引き、府舎から直ちに大横・腹哀・期門に引き、期門から直ちに食竇・周栄に上り、斜めに天突・廉泉に引き入れて止まります。

築賓は墨点。府舎・大横・腹哀は黄点。期門は青点。食竇・周栄は黄点。



衝脉:黄

会陰から始まり、斜めに気衝に引き、気衝から斜めに陰蹻・腎経の横骨の傍らに引き、ここから陰蹻・腎経と並んで肓兪・幽門・歩廊を経、胸部に上り散じて止まります。

気衝は黄点。他はすべて陰蹻と同じです。

衝脉の下行するものは、足底の湧泉から始まり、然谷に引き、ここから陰蹻・腎経と並んで会陰に至り、衝脉の上行するものが会陰から気衝に出るものと合会して止まります。

これもまた黄色です。湧泉は黒点で他はすべて陰蹻と同じです。



帯脉:緑

帯脉穴から横に、前は臍、後ろは十四椎を貫いて引いて一周させています。また帯脉穴から上に章門に引き、下に五枢・維道に引いています。

帯脉・五枢・維道は緑点。章門は青点。







以上は、先師が伝えられているところの銅人の法です。

正徳五乙未年〔伴注:一七一五年〕 菊月吉辰

京姉小路堀川東入る町

中川茂兵衛  蔵版










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