張景岳の営衛






《類経》〈経絡類二十三:営衛三焦〉張景岳:明代末期


いわずと知れた明末の名医、張景岳の営衛の総論です。一元流の宗元の論と言ってもいいでしょう。



人の身体というものは表裏にすぎません。表裏は陰陽に過ぎません。陰陽はすなわち営衛であり、営衛はすなわち血気です。臓腑筋骨は内に位置し、営気によって必ず資けられ経脉によって疏通されます。皮毛分肉は外に位置し、経脉は通ることができず営の力が及びません。衛気の温煦によって孫絡によって栄養されます。このように、内は精髄から外は髪膚まで、その養いを受けないものはありません。すべて営衛の化したものなのです。

営気とは、天に宿度があり、地に経水があり、出入に時期があり、運行に順番があるものです。

衛気とは、天に清濁があり、地に郁蒸があり、陰陽や昼夜や時間に随って変化するものです。

衛気は陽に属します。すなわち下焦から出ます。下にあるものは必ず昇ります。ですから衛気は下から上へ、地気が昇って雲になるように昇ります。

営はもともと陰に属します。すなわち中焦から上焦へ出ます。上にあるものは必ず降ります。ですから営気は上から下へ天気が雨となって降るように降ります。

衛は気を主り外にありますけれども、血がないということはありません。営は血を主り内にありますけれども気がないということはありません。つまりは、営の中には必ず衛があり、衛の中には必ず営があるわけです。ただ内を流れるものを営と言い、外を流れるものを衛と言っているだけなのです。

人の身体とは陰陽の交感する道です。これを分ければ二となりますが、これを合すれば一であるだけです。







2005年 4月24日 日曜   BY 伴 尚志


一元流
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