下焦精蔵 第十一節 房後陰痿




男子の泄精の後、陰茎が柔弱になるのはどうしてなのでしょうか。

これは陰陽互根の道です。陰精が一度泄れると、中に根ざしている陽気が脱けます。そのため柔弱になるのです。けれども下気が充実しているものは、泄精の後であってもまた剛強となる勢気があります。

麁工(そこう)〔訳注:愚者:謙譲して使っている〕は思うのですが、泄精の後の陽事(ようじ)〔訳注:ペニス〕の痿弱(いじゃく)〔訳注:収縮〕は〔訳注:射精したあとにペニスが収縮するのは〕、陰が脱するためであるというのはまったく間違っています。陰虚火旺のものの多くは陽事が強く挙がるものです。このことからも茎が強いということは〔訳注:よく勃起するということは〕陽によってなるものであって、陰液によるものではないということが理解できます。けれども陽火が甚だ盛んなものは、反って茎痿する〔訳注:勃起しない〕ことがあるのは、相火がその宗筋を緩弱ならしめるため〔訳注:緩め弱くするため〕です。夏の非常に暑い時期になると、草葉枝蔓茎までもが柔らかくなって(しぼ)んでしまうことと同じ理由です。



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