下焦精蔵 第十八節 胎中留結非瘀血




婦人が懐妊すると必ず経水が閉じて出なくなりますが、これもまた瘀血(おけつ)に属するものなのでしょうか。

そもそも妊婦の経水が閉じるのは瘀血ではありません。どうしてかというと、妊婦は経水が閉じて留血するわけですけれども、これは胎を養うための留血であって、無用の畜血ではありません。ですから妊婦は経閉していても腹痛などの患いがないものは、瘀血ではないわけです。すでに出産しているのに古血(ふるち)を下しきっていない場合は、瘀血となって腹痛などの患いとなります。医書にいわゆる、児枕痛、俗にアトバラと呼ばれているものがこれです。

右に弁じたように懐胎している十月の間の留血は、胎を養うための供え〔訳注:供給物〕であって無用の畜血ではありません。産後は養うべき胎がなくなっていますので、留血もまた無用になります。無用のものとなっていますから瘀血です。妊婦の経水が閉じている十ヶ月の間は瘀血ではありません。産後の留血はすべて瘀血とします。

産前の漏血は恐れるべきものであり、産後に漏血が尽きなければ大病となるというのも、この理由によります。



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