下焦精蔵 第二十五節 乳汁




出産後は乳汁が通じます。乳汁が出ている間は、経水が必ず止まって下らないこともまた自然の理です。乳汁が出ている間に経水が下るものがたまにありますけれども、このようなものは「変」に属し常道ではありません。

上に通じる乳汁も下に泄れる経水も、ともに血液が化したものであって、中焦における水穀の精微の気から生じているものです。経水が赤色で乳液が白色なのは、赤い皿の水は赤く白粉(おしろい)の水は白いようなもので、その注ぐ部位に従って色が異なるわけです。〔訳注:同じように〕中焦における水穀の精液から発しているわけですけれども、経絡に注ぐものは化して営となり赤色であり、上焦の肺分に注ぐものは、金の気に化せられて自然に白色になるわけです。







乳汁が出ている間は経水が止まって下らないのは、下部に達するべき精液が上部に溢れ出ているためです。これは自然の理であり、人身が行うことのできることではありません。

また、すでに出産している婦人の乳汁が必ず出るのは、天がこれを生じてこれを養うという自然の道です。天が万物を生じる際には、必ずこれを養うものを供え〔訳注:供給し〕ます。小児が産まれてその歯がまだ生えずその臓腑がまだ充実していないうちは、大人が食べる穀味でこれを直接養うことはできません。そのため、母の血液を化して乳汁にし、泄らしてこれを吸わせて養うわけです。天が雨露を降して万物を潤養するということと同じことです。すべては天地自然の仁に出ているものなのです。



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