中焦穀府 第四節 四肢属胃




《素問・太陰陽明論》に、『四肢は気を胃から稟けています』と述べられています。五行の土は中央に位置して、その気を四隅と奇応〔訳注:対応〕させています。ですから人身の胃土は中央に位置して、その気を四肢に送っているのです。四肢は天地における四隅と同じです。

また《太陰陽明論》には『四肢は気を胃から稟けていますが、直接稟けているわけではありません。必ず脾に因って稟けることができるのです。』と述べられています。四肢が稟けるところの気は胃中の水穀の気です。水穀は胃に納まりますけれども、胃が自ら消化することができるわけではなく、脾によって消化されます。水穀の気は脾の消化によって発します。気が発することによって、四肢はその気を受けることができるわけです。そのため《内経》に、『四肢は気を胃から稟けていますが、直接稟けているわけではありません。必ず脾に因って稟けることができるのです。』と述べられているのです。

手足の病は中焦に属します。手足が倦怠するようなものは、中焦の虚実によるものです。平人であっても空腹時や満腹時には必ず四肢が倦怠して寝ることを(この)みます。胃実も胃虚も四肢を倦怠させます。ですから脉色形症を用いて〔訳注:四診合参して病因病理を考えて〕、その虚実を弁別して治療しなければなりません。今の医は、四肢の倦怠と聞くと中焦の虚証とだけ考えますけれども、昧い〔訳注:くらい:物を知らない〕と言わなければなりません。



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