第十章 人参黄耆(おうぎ)の論
第一節 人参




門人が聞いて言いました。近世の医家には、人参を二厘か三厘しか用いない場合がありますが、この是非についてお聞かせください。

答えて言いました。人参は元気を無何有(むかう)(さと)〔訳注:《荘子》自然のままで作為のない理想郷〕に回すと言われていますけれども、わずかに二三厘という塵のような人参を一二銭の衆薬の中に加えて何の効果を得ることができるでしょうか。これはその病源に達していないため、真の的〔訳注:目標〕があって人参を用いているのではなく、おそるおそる疑いながら窺うように用いているものです。

人参を用いる際には少ない場合でも五厘を下限とすべきです。



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