生活提言


腰痛の弁証論治(三診)




本日快晴。外気温27度。治療院は涼しい。



前回処置後の話



前回来院時と同じ感じ。

一回目の治療の翌日が一番楽で、

もう治ったのかと思ったほどだったのだが・・・。

反ったり歩いたりするのは痛まないが、屈むときに痛む。




処置前



【舌診】

淡紅舌薄白苔。歯痕あるも初期のときほど目立たない。また、剥苔はきれいに消えている。



【脉診】

診はじめには脉処に発汗。(太淵や合谷・肺兪などに寒熱の変化がなく、脉処の発汗もすぐに治まっているところから考えると、やはりこれは、今日という日の暖かさの問題と、少しの気虚の問題とが絡んでいるのではないかと思われる。)

本日は脉に特徴が出ている。

右尺位弦。浮位に急。

右寸口に短。沈位に無脉。



【経穴診】

右の足三里、深く堅くなっており、板のようにしこっている感じ。

肺兪風門には問題は見られない。

右の腎兪三焦兪

左胃兪。三焦兪がトップでやはり二つに割れている。腎兪は深い。

三焦兪を頂点として脹れた感じになっているが、前回ほどきつくはない。

督脉の緩んだ感じはほとんどない。

それに代わって、腰背部の皮膚が粘った無力な感じになっている。

左太巨の冷えはない。




処置1



右の腎兪・右三焦兪(金)左胃兪(16分置鍼)




処置1後



右腎兪・三焦兪しっかりと出ている。

左胃兪あまり変わらず、右胃兪に冷えが出ている。




処置2



胃兪(左右更互に施灸三壮づつ)




処置2後



背部の皮膚の状態が、たるんだ感じから一変、少し引き締まった感じになっている。(3割くらいの向上か) 胃兪七分方よし。

右足三里の堅さが弛み、穴所がふっくらとする。

脉状。これ以上ないほどすばらしい。

堅さや偏りが弛み、すばらしい脉状になっている。




考察



初診時には補腎益気をし、二診目には収め散じて、眼前に繰り広げられる矛盾を解決するような鍼をしました。

そして今回三診目、明瞭になってきたものは腎虚と脾虚、そしてその狭間で三焦が疲れているという状態です。

いわば、腎虚(腰痛)を表面に現しながら、他の矛盾に関しては今までじっと耐えてきたこの身体が、問題点に適切な治療を受けたことにより安心して弛み、次の問題である脾・腎・三焦の虚を訴え始めた。そんな印象を持ちました。

気虚がありますので、肝気のバランスを少し崩すと、剥苔を生じるほどになります。この気虚は、腎の陽虚によるもので、腎気が少し回復してくるにしたがって、舌象の淡白・歯痕とともに気虚も収まってくるとみています。

最後に胃兪を収めに使いました。堅かった右足三里が見事に弛んでいるのに、びっくりしました。

それとともに思ったことは、この患者さんの脾虚も実はそれほど重症ではないだろうということです。今日ご本人が、「思いっきり食べて思いっきり飲んでいましたから。マラソンすれば大丈夫だと思っていたんです。」と言われていましたが、そのとおり、身体に無理が重なったため ――― いわば、不摂生によって、腰痛とともに痛風を病むまでになってしまったのでしょう。

ですから、不摂生をやめることによって身体全体が力強く回復してきた、その様を、この経穴の回復の早さ、足三里の回復の早さ、舌象の回復の早さ、皮膚の状態の回復の早さは示しているのではないかと思います。

これは思ったよりも早くマラソンを再開できるのではないでしょうか。

目処としては、気虚の状態が回復し安定したときを考えています。

本日治療直後は、この気虚の状態が回復していると見ています。けれどもこれは、治療によってその状態を示しているものですから、これが安定してきたかどうかということは、次回来院時の身体の状態をみるとわかります。

その治療前に、今回治療後の脉や経穴の状態が継続しているならば、これは気虚の状態から回復していると考え、マラソンの再開を(距離を短くして)勧める予定です。











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