実際

『難経』は仏教の身体観を包含していた
―『難経』における身体観の量的分析



【方法】難経脉診における身体観の量的な比較



『難経』の脉診部分、22篇に使われている身体観を分類し、量的な比較をしました。難経全体ではなく難経の脉診部分を選択した理由は三点あります。

1、寸口の脉診部位を全身の縮図としている。これは『難経』の作者が寸口の部位を小宇宙として自身の身体観を象徴的に表現しようとしていることを意味しています。

2、二十二篇全体として、全体観をもってバランスよく書かれています。

3、個々の篇で使用されている身体観が一つであるため、量的に比較しやすくなっています。

以上の点から、寸口の脉診について記載されている22篇を用いることとしました。







具体的には、寸口脉診の記載を以下のような項目に分類しそれぞれの篇を要約した後、黄老道・讖緯説・仏教のそれぞれの身体観を当てはめまていきました。

もう一度まとめておきます。

黄老道:人身を一小天地として陰陽五行の観点からみているもの
讖緯説:陰陽五行を超えて抽象化され複雑になっているもの
仏 教:腎間の動気を中心とした気一元の身体観

次に、具体的な作業の概要を記しておきます。







【目的】『難経』の身体観の量的分析

【背景】『難経』には仏教と讖緯説という新たな身体観が包含されている

【方法】難経脉診における身体観の量的な比較

【実際】詳細は附録資料を参照のこと

【結果】黄老道の身体観を中心とし、仏教の身体観をも多く取り入れている

【考察】仏教に基づいた身体観の大いなる飛躍が『難経』の特徴

【派生的考察】『難経』が開いた仏教の身体観は日本で開花した

【用語解説】黄老道・讖緯説・仏教

  注1:『道家思想の起源と系譜』―黄老道の成立を中心として―

  注2:魏書 釈老志

  注3:後漢書 巻四十二 光武十王列伝 楚王英伝

  注4:『難経』が書かれた時期は紀元後100年前後

  注5:仏教の伝来時期とその身体観:楚王英とその周辺を中心に

  注6:左腎右命門を臍下丹田と解するのはなぜか

  注7:『不老不死の身体』

参考文献:使用している『難経』の主な版本











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