折鍼




一、腹部で折鍼したときは、押し手を離してはいけない。

折鍼した鍼の折れ目が腹部の皮膚と同じ高さにある場合は、そのままにしていた押し手をさらに強く押して鍼を押し出すようにするとよい。

折鍼した鍼の折れ目が腹部の皮膚より皮膚一枚分くらい深い場合は、病人が絶対に動かないよう注意しながら、折鍼した鍼がある穴の下方に新たに鍼を刺すと、折鍼している方の鍼も自然に出てくるものである。

腹部で折鍼した場合、病人が少しでも動くと折れた鍼が横を向いてしまって出難くなるので注意する必要がある。

また、腹部のどこで折鍼したとしても、気海穴の両側三寸半の場所に鍼を刺せば、折れた鍼は自然に溶けて無くなる。

また折れた鍼を内へ引くときは神闕穴に刺す。

男性は逆方向に女性は順方向に刺す。

折れた鍼が肉の内部にあるときは、鼠の脳を砕いて塗ったり白梅を噛み砕いて塗ると出てくるものである。







一元流
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