治療指針:生活提言


二人目不妊(36歳)の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



20代前半のときに、ストレスで蕁麻疹を発症した時はストレスが強かったと本人が言うように、 肝気の上衝がきつかったと思われる。このころ花粉症も発症していて点眼薬のみ の治療を受けていることから、目の症状が特にきつかったと思われ、気逆が強かっ たことが窺える。人生においてこの年代は、腎器も充実し、肝気も盛んになる時 期である。それにより、物事に積極的に取り組んでいろんな経験もできるが、そ の反面ストレスも強いと言え、そのために気逆が強く出たと考える。

このように肝気を張っていても、それが自分の意志でコントロールされているのであれば、 肝気もうまく納まり、腎気を傷ることなく生活を続けることができる。しかし、 20代後半で下焦の症状として虫垂炎を発症していることから、肝気の張りが徐々 に腎器に損傷を及ぼし、腎陽虚を呈し始めていったのではないかと考える。虫垂 炎は手術をしており、これがさらに腎陽虚を進め、その後の膝の冷えに繋がって くると思われる。







33歳で第一子を出産してからは、寒冷刺激やストレス、不摂生で蕁麻疹が出たり、 お風呂の後や寝る前に大椎周りが痒くなるようになり、3年経った今現在まで続 いている。これは、出産で一時的に落ちた腎気がまだ回復できないでいるためと 思われる。また、出産後仕事に復帰してからは疲れを自覚しており、授乳、育児、 家事、仕事と腎気を養うどころか、少しずつ損傷しているのではないかと考える。

それに加えて、昨年から専門学校に通うようになり、時期により強くストレスを感じる こともあるようで、ますます肝気の上衝を煽り、腎気を消耗する生活となる。座 り仕事になってから、膝の冷えを感じるようになっているが、これも、普段から 気が上衝しがちなため、腎陽虚で気の密度が薄くなっている下焦の気がさらに薄 くなって、”座ると膝が冷える”という自覚症状になると考える。横になると膝 の冷えは感じないというのも、肝気が緩むために、下焦の気虚も緩むからだと考 える。膝は高校生の頃から強い衝撃があると痛みを感じていたことを考えると、 気付かないうちに経筋を傷めて、それがきちんと回復できていなかったために、 腎気の弱さがもともと弱い膝に症状として出るものと推察する。







また、この腎気を損傷しているもうひとつの要因に、水分の過剰摂取による脾気の 損傷が考えられる。30歳頃から意図的に水分を多めに摂取して、同じ頃からトイ レが近くなり、下痢しやすくなっていることから、身体は余分な水分を排泄しよ うとがんばっていることが窺える。出産してから体重が10kg増えており、本人は 運動不足のせいだと言っているが、それだけではなく、脾腎の気虚が進み、排泄 機能が落ちているためであると思われる。

主訴は不妊ということで、治療を望んで受診されているが、一人目の子供にまだ 授乳しているということから、今は妊娠しにくい状態であるということは充分に 考慮しなければならないが、加齢の分を差し引いても、明らかに第一子妊娠時よ り腎気の虚損が大きくなっていると思われ、この腎気の弱りが妊娠のしにくさ繋 がっている可能性は考えられる。




弁証論治



弁証:腎虚
論治:補腎







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療方針:生活提言











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