20代の頃は生理前の下腹部痛がひどかったとのことで、肝鬱により、下焦における気滞が生理前に強く現れていたものと思われる。現在も生理前から生理中にかけて吐き気がすることから肝の気逆が窺え、心下の詰まりがあり、ストレスで胃が痛くなることがあるなど、本人と接して受ける印象とは違い、案外肝鬱があるのではないかと思われる。
28歳で不妊治療を始めて、ホルモン薬の服用で自然妊娠に至るが、流産となる。妊娠初期での流産ということで、流産前後における体調の変化は特に無いと言う本人の言葉だけを聞くと、身体への影響はあまり無かったかのように思われる。
しかし、ホルモン薬の服用を始めて以降、生理の出血期間が短いと感じるようになり、流産後の生理は確実に出血期間が短くなっていることから、ホルモン治療で腎気が少しずつ損傷され、妊娠して増えた体重が流産後も戻らないことを考えると、不妊治療から妊娠、流産を経て、腎虚への傾きが徐々に大きくなっていると思われる。
流産後は生理前の下腹部痛が無く、吐き気のみというのも、腎虚により下焦の根が弱いため、下焦での気滞は起こらなくなったが、気逆が吐き気として現れているものと思われる。
脾気に関しては、仕事を辞めてストレスが減ってからはお通じも出やすくなったこと、ストレスが無いと胃痛は起こらないなど、肝気の横逆による影響が大きいと思われるが、脾募や右関上の脈、胃兪の状態などを診ると、少し自己節制が必要ではないかと思われる。
弁証:腎虚
論治:補腎
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