小さい頃から手足に湿疹がでやすいなど、先天の器の小ささを思わせます。
20代に急激に悪化したアトピーに対して脱ステロイドをして頑張ったため、尿が出にくくなる という腎に負担をかけています。
またその後、悪化したアトピーに対して断食道場で過ごすことで、 脾気が救われアトピー自体は好転するものの、尿が出にくくなる、尿切れが悪くなるなどの状態に陥り その後、継続しています。
これは、アトピーは脾気を救うことで好転するものの、強行的な手段により、腎気を損傷し、 器を一段小さくしたのではないかと考えられます。
その後は器にあわせて、のんびりと生活することで、アトピーとの上手な付き合いの出来る状態となり、 小さい腎気の器、弱い脾気でありながら、大きく困る状況にはならずに経過しています。
しかしながら、現時点で腎気の器も小さいままですし、脾気の状態としては、春先から梅雨明けまでは水泡が出たりしてもっとも悪化するなど、内湿の可能性を思わせますし、プルーンを食べないと便通がない。脾募の状態、足三里の状態などの体表観察からも脾気の弱さはきつく感じる状態ではあります。
主訴は不妊です。
年齢が高いことや、卵管の問題で、IVF-ETに挑戦され残念ながら結果がでずというところです。
不妊治療は、ホルモン剤を投与して、排卵を促すことになります。これは、通常でも身体の下焦の力で ある腎気を消耗させ素体を疲れさせます。
本症例の患者さんは、もともとの器の小ささと、アトピー性皮膚炎との付き合いの中で腎気の器を 小さくしていることもあり、ホルモン剤の投与でかなりきつくアトピーが悪化しています。
ホルモン剤は、腎気を奮い立たせ排卵を促します。このため、より腎気を落とし、内熱を生じ、脾気に負担をかけ 身体の下部である下肢に内側からじくじくする感じでアトピーが悪化するという状態になっています。
また、高温期を維持するホルモン剤を飲んでもしっかりあがらない高温期は、もともとの素体の力の不足、 とくに腎気の不足を思わせます。この腎気、腎陽の不足状態では、妊娠しても継続できないであろうことは明白です。
妊娠のためには、まず、不妊治療で使われるであろう腎気の消耗に対してついていけるように腎気を補う。
腎気、とくに腎陽が補われることにより受精卵が着床し子宮内膜で成長していける力をつけるようにしていきます。
また、妊娠は母体の脾腎の力をとても使います。赤ちゃんのためにも母体が充実していることは大切ですが、 ご本人にとっても、アトピーを悪化させないため、無事のご出産をなさるために、腎気を補い脾気を建てることが 肝腎です。
不妊治療に負けない身体作り、妊娠に充分耐えうる身体作りを目指します。
弁証:脾腎両虚
論治:補腎健脾
|
|
|
|