アトピー不妊(IVF-ET)弁証論治


アトピー不妊(IVF-ET)弁証論治
治療指針:生活提言:治療経過




治療指針



ホルモン剤の投与に耐えるように腎気をたてることがまず第一。

IVF-ETによって、胚を戻した後は、腎陽を中心にたて、子宮を暖かく充実した場所となるようにし、 着床を助け、初期の流産を防ぎます。

妊娠が継続できたら、脾腎の器をたて、母体の充実、出産への備えを出来るだけしていきます。

遠方からの来院ですが、週に2日の治療と、ご自宅での毎日の施灸を指導。




生活提言



体外受精に挑戦してみるもまだ結果が出ていない状態です。

素体の器の小ささの影響を受け、ホルモン剤の投与で非常に大きな身体のぶれを生じています。

妊娠するための不妊治療ですが、刺激を受け取るだけの素体がないと、せっかく胚を移植しても 受け止めらず妊娠することが出来ません。

身体の力を充実させ、赤ちゃんの卵をしっかりと受け取れる体にしましょう。

また妊娠がゴールではなく、出産したくましい母となることが大事です。 目先の結果を負うのではなく、身体作りを考え、長い目で妊娠ー出産を考えてきましょう。

アトピーとは上手につきあっていらっしゃいますが、身体に負荷をかける不妊治療では 状態が悪化しがちです、胃腸の力を落とさないように、過食や甘いものに注意して、身体作りを 心がけましょう。




治療経過



35歳で結婚から不妊治療を受ける。
37歳KLCにて一回目のIVF-ET 妊娠せず、その後ビッグママ治療室を受診
週に2回のペースで通院。

手首のアトピーが少し悪化

2ヶ月後 体外受精に再挑戦、妊娠
1)臍温石、棒灸 左内関、足三里
2)脾兪、三焦兪、次髎(鍼、温石、ミニ灸)







妊娠判定から12wまで

週に二回のペースで来院。
下腹が硬く冷えた感じ。全体に皮膚が枯れていて、背部輸穴も生命力の希薄さを感じる。
ただし、本人は頑張って肝気を張っていて聡明な印象。

1)下腹棒灸 (後谿ー左申脈)ミニ灸2回 足三里(灸頭鍼ーミニ灸)
2)肺兪棒灸
3)身柱温石 腎兪、脾兪、胃兪、次髎(鍼、温石、ミニ灸)







12ー15wのころ 妊婦は歩くように(一日2時間)といわれるが、少し歩くとお腹がはってしまう。
お腹が硬いので、歩くよりは養生、安静を心がけるように指示。
歩くならば午前中にして午後はゆっくり横になるようにと。







16-19w 結代がひどい 二拍に一泊の結代(治療後は4泊に一回の結代ぐらいに変化)
リズムも全体に悪い。父親が不整脈の既往があるのでそのせいか。
脾兪のおっこちがきつい。

1)中脘(温灸) 右内関(子に灸)下腹棒灸、へそ 足三里(+ミニ灸)
2)同じ 脾兪、右三焦兪に直接灸10 + ミニ灸(脾兪、三焦兪、 胃兪、腎兪、大腸兪)







20w~ 順調、調子がよい。おなかの中がバタバタ暴れているように胎動を感じる。
1)右後谿、足三里(灸頭鍼ーミニ灸)、ミニ灸三陰交
2)腰、温石、マッサージ
3)左胆兪、脾兪、三焦兪(鍼、温石、ミニ灸)
次髎、中膂兪(温石、ミニ灸)







30w~ おなかがよく動く。胃の調子が悪い感じがする。
アトピーはいつもの悪化の時期だが、さほどきつくなく例年同理。
妊娠するとアトピーはひどくなるといわれていたのに、経過がよくてうれしい
1)下腹棒灸、足三里灸頭鍼 ミニ灸三陰交 右内関プラスミニ灸
2)腰温石マッサージ、ヒアルロンサンローション、
3)胃兪、三焦兪、脾兪、腎兪 中膂兪(温石、ミニ灸)ホホバ塗り







38w~ 予定日まであと11日。
本日は『安産はりきゅう』のためにご主人と同伴で来院。
いつ生まれてもいい状況で、出産時に力が出るように施術。
アトピー悪化、おかながかゆい。
むくみがでていて、とくに右下肢が辛い。
1)右後谿+ミニ灸、下腹棒灸、足三里灸頭鍼、
三陰交灸頭鍼2回、左湧泉ミニ灸
2)肺兪(7)
3)腰温石マッサージ、下肢マッサージ
4)胃兪、三焦兪、左胆兪、次髎 (鍼、温石、ミニ灸)







39w 出産 ご本人からのメール

『本日昼の12:45に3155gの元気な男の子です
昨夜陣痛より先に破水から始まって、深夜1時頃に病院入り。明け方から陣痛が 本格的になりやはり経験したことのない痛みとの戦いでしたが分娩台に乗ってからは 15分くらいで産まれました。
早速写真をと思ったんですが今は携帯でまだ撮っていなくて、赤ちゃんと部屋も 別なので取り急ぎご報告だけです。ダンナに『余裕があったら先生のHPに写真を 添付して・送っておいて』と頼んだんですが、うちに帰ったらバタンキューかもです(笑) 長い・でスミマセン・ 本当にありがとうございました』

『米山先生こんにちは
ご丁寧なメールをどうもありがとうございました。返信が遅くなってすみません。先生 にお伝えしたい気持ちはたくさんあるので『ちまちま携帯で打っていられないわ』と家 族のパソコンを借りてメールを打ち始めたものの、途中で中断してしまったりでなかな かはかどりませんでした。ヒロシが産まれてもう17日、退院してもう11日になります 。本当にあっという間に時間が過ぎていきますね。
ヒロシは日中は静かに寝ているばかりなので手がかからなくて助かっています。ただ昼夜 逆転してしまっているのか、夜間はおっぱいを飲んでもなかなか寝付いてくれずお目目 ぱっちりで布団に寝かせると泣いてしまうので、私もすっかり寝不足で少々ばて気味・ ・・
先生の仰るとおり、午前に午後にヒロシが寝ている間にこまめに昼寝をするようにしてい ます。退院直後はその寝不足がとてもこたえたのですが、ここ数日で随分体力が回復し てきたように思います。(寝不足には変わりないのですが・・・)
先生のアドバイス通り、十全大補湯は産前に用意して入院中から服用を始めました。ヨコハマに戻ったら何もかも自分でやらなければならないし、産後の今こそしっかり体力を回 復させて後々に蓄えておくのが大事なのかな、と今は親に甘えて楽をさせてもらってい ます。
私の症例をまとめていただいて、形にしていただくのは私としてもとても嬉しい限りで す。自身でも時々読み返して頑張り過ぎずに注意していこうと思います。 確かに入院 中は気持ちも高ぶっていたし、夜間の授乳もおっぱいをあげる時間以外は眠ることが出 来たのでさほど苦痛に感じませんでしたが、退院して3~4日くらいでちょっと弱気に なりました。このような波がヨコハマに戻って産後2ヶ月目くらいにあるのかもしれないな ・・・と 感じています。
でも退院後初めて深夜にヒロシと二人きりで過ごして、なかなか寝付かないヒロシを抱っこ して体温と体重を手に感じた時に、 なんとも言えない温かい感情があふれてきて思わ ず涙してしまいました。新宿の加藤クリニックに不安な気持ちで通っていた時のことを 思い出し、本当に無事産まれてきてくれて良かった、とありがたい気持ちでいっぱいに なりました。
思い切って体外受精に足を踏み入れたものの、良い結果が出せるのか?、そしていざ陽 性反応が出てからもうまく継続出来るのか?健康な赤ちゃんに育ってくれるのか?と常 に不安ばかりで、妊娠後も『私の妊娠は体外受精だから…』と劣等感のようなものを感 じながら過ごしていました。でも週に二回先生の所に通ったことは、体のお手入れをし ていただく以上に精神的にとてもプラスになり、常に親身に時に厳しくご指導いただい たおかげで、とても安定した妊娠期間とスムーズなお産が出来たのだと思います。 ま た、大勢の、いろいろな週数の妊婦さんと毎日向き合っていらっしゃるにもかかわらず 、私の胎動をとても新鮮に喜んでくださったことはとっても嬉しく思い出に残っていま す 。本当にお世話になり、どうもありがとうございました。

それから蛇足ですが、命名にまつわるお話をひとつ。最後に先生のところに伺ったとき にはまだ夫の心の中に秘密にされていた名前の候補ですが、結局私が里帰りする二日前 の夜になってようやく発表されました。その日はもう時間も遅くゆっくりと相談も出来 ず翌日も年度末の最終日で帰宅の遅かった夫とは名前については何も話さず私は実家に 来てしまいました。でも20くらいある候補の中で私が一番気に入ったのが『ヒロシ』で したので、私の中では出産後入院中も『この子はヒロシだな』と思いながら過ごしていま した。
そして、退院の日にいざ話し合いをはじめたら、夫にはもっと別の最終候補があり話 し合いは難航。 『ヒロシ』は ①夫の長兄『タカシ』に音が似ている ②自分がふりがながなければ絶対読めない名前で苦労してい るので息子にはわかりやすい名前をつけたい という理由で渋られてしまいました。 でも夫の出す別の候補も私は気に入らず「もともとあなたが出した候補の中から選ん だのに今更反対するなんて!」と半ば険悪モードに・・・でも翌日はお七夜で両家の両 親を交えて昼食をとる予定だったのでなんとしてもその日の夜に名前を決めねばならな いのでした。
互いに譲らず話し合いも行き詰った深夜に、夫がいきなり30個弱ある候補の名前で 端から順番に赤ちゃんに呼びかけ始めたのです。そうしたらなんと!『ヒロシ』の時だけ 赤ちゃんが 「ひい!」 と何だか声を発して返事(私は勝手にそう解釈しました!)をしてくれ たのです(笑) 『ほらほら!!今返事したじゃない!』と私。『ヒロシ』の後もいく つか呼びかけましたが、赤ちゃんはうんともすんとも言わず。 夫もついに断念してめ でたく『ヒロシ』と決定したわけです。
夫はもちろん実家の家族も(特に母が)ヒロシにメロメロで、皆が本当に幸せそうにヒロシ と接する姿を見て、「赤ちゃんが幸せを運んできてくれるのだな、体外受精に踏み切っ て本当に良かったな」と実感しております。私自身が体調を崩してしまってはどうにも ならないので、完璧を求めずある程度いい加減に気持ちに余裕を持って育児をしていか れたら、と思っております。
長くなってしまいましたが、改めてお世話になりありがとうございました。遠方なので まだ未定ですが、いつかヒロシの顔を見せに先生やスタッフの皆さんに会いに行きたいな ~と思っております。先生もお忙しい毎日と思いますがお体にお気をつけてお過ごしく ださい。
それでは、また。』







.私からのお返事

『Eさん こんばんは
丁寧なお返事ありがとうございます。

> ヒロシは日中は静かに寝ているばかりなので手がかからなくて助かっています。ただ昼夜 > 逆転してしまっているのか、夜間はおっぱいを飲んでもなかなか寝付いてくれずお目目 > ぱっちりで布団に寝かせると泣いてしまうので、私もすっかり寝不足で少々ばて気味・ > ・・

大変ですよねえ(^_^)
私は、下の娘のときは、もうねむくて、ねむくてという感じだったので、
娘をおなかの上に乗っけて寝ていました。
朝になると横にちゃんと寝ていましたよ。わははは。
まあ、ほんの一時ですから、楽しんでください。

> 私の症例をまとめていただいて、形にしていただくのは私としてもとても嬉しい限りで > す。自身でも時々読み返して頑張り過ぎずに注意していこうと思います。 確かに入院 ありがとうございます!

症例は、年齢を少し変えたり、状況設定をかえたりして、個人情報を差し替える 形で、皆さんにシェアできるようにしたいと思います。リウマチなどの持病や アトピー、瘠せ等の体質的な弱さをもって妊娠した方は、やはり妊娠中の養生が なにより必要だと常々感じます。
Eさんは、素直にアドバイスにしたがっていただけて、本当に私も うれしかったです。いまちょうど、『赤ちゃんのために安静にしたり手入れした りすることは必要』と強く助言させていただいた患者さんが、安静に出来ず、 結局緊急入院。いま生まれてしまうと神奈川県内では赤ちゃんの受け入れができ るベッドがないんだよ!!と脅かされてしまう事態になってしまった方が いらっしゃいます。調子のいいときに、ちゃんと手入れして養生していただくこ とが本当に、本当に大事なんですよね。
ヒロシ君、やっぱり素敵ですよね(^_^)。
Eという名前が難しいからとおっしゃっていたので、 どうなさるのか楽しみでした。読みは難しいけど、字としてはそれほど 難解ではないので、一度読みをいえば直ぐに覚えてくれそうですよね。 オンもとてもいい感じだなあと思います。

加藤でのチャレンジも多くの方々がなさっています。
なかなか結果がでないこともありますが、こうのとりさんが、ひとりでも多くの 方々にきてくれるようにとお祈りしています。きまぐれなんですけどね(^^ゞ 【注:当時は夢クリニックはなく、新宿の加藤レディースクリニックしかありませんでした。】

> でも退院後初めて深夜にヒロシと二人きりで過ごして、なかなか寝付かないヒロシを抱っこ
> して体温と体重を手に感じた時に、 なんとも言えない温かい感情があふれてきて思わ
> ず涙してしまいました。

しみじみとした時間が流れているのですね。
おっぱいの臭いのする独特の感じ、あの甘さ、人懐っこさは 不思議な感じですよね。
つながって生きているんだなあなんて。

> 夫はもちろん実家の家族も(特に母が)ヒロシ にメロメロで、皆が本当に幸せそうにヒロシ
> と接する姿を見て、「赤ちゃんが幸せを運んできてくれるのだな、体外受精に踏み切っ
> て本当に良かったな」と実感しております。私自身が体調を崩してしまってはどうにも > ならないので、完璧を求めずある程度いい加減に気持ちに余裕を持って育児をしていか
> れたら、と思っております。

ぼちぼちとがんばってくださいね(^_^)
赤ちゃんが人をたくさんつないでくれますよね。
孫のありがたさって、あるんだなあって思います。
いつか、こちらにドライブでもいらしたら是非寄ってお顔をみせてくださいね。
楽しみにお待ちしております(^_^)







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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