起老園先生腹診述法

手に覚えをつけること


病を治療するには、症に隨うということが大切です。症に従うとは、毒の位置を理解して薬を処方することです。毒の位置を理解するためには、先ず手で覚えることが非常に大切です。病の毒ほど診難いものはありません。このため、衆医〔訳注:一般の医者〕は、胸中の病を難治とします。どうしてかというと、胸中は筋骨を隔てて診なければならないため、手にしっかりとした覚えがないと、簡単には理解することができないためです。ですから私の家では先ず〔訳注:手で覚えるように指導しているわけです。〕

手に覚えをつけるためには、薄い板と厚い板とを手で按させてその厚薄を自分で明確に理解させます。次に堅いものと柔らかいものとを按させて、手に覚えさせます。その手心を用いて病人を診察させるわけです。



一元流
東洞流腹診 前ページ 次ページ