長沙腹診考

胸痺


胸痺とは、胸中に気が塞がって呼吸が苦しくなるものをいいます。『薬徴』には「いわゆる胸痺とは胸膈の痞塞です。」と述べられています。橘皮 枳実 杏仁等が主治します。腹証を詳らかにして、胸痺の条と見合わせてください。世にこの症は多いものです。


付言

私が故郷にいたとき、ある老母が霍乱を患いました。胸中が痺して呼吸することができません。人参湯を与えて治しました。

北総の銚子である男子が喘息を患っておりました。桔梗白散を投じたところ、症状が激しくなりました。茯苓杏仁甘草湯を与えたところ徐々に治っていきました。

私の同郷の桑の川にある病者がおり、胸痺を患っていました。いつも大便が微し結していました。ある医師が大承気湯を与えましたが反応しません。私は薏苡仁附子敗醤散を用いて治しました。



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