治肝火七法





肝火が非常に盛となり三焦に流れ出ると、全身、上下内外全てにわたっ てそれぞれあげることができないほどの色々な病となる。たとえば目が 赤く頬が紅くなったり、痙攣や四肢の厥冷を起こして狂ったように騒い だり、小便が出にくくなってできものができたり、空腹や口渇に苦しん だり、嘔吐して眠れなくなったり、上や下から血が溢れ出るものがこれ である。







清肝:たとえば羚羊角・牡丹皮・黒梔子・黄ごん・竹葉・連翹・夏 枯草を用いる。

瀉肝:たとえば竜胆瀉肝湯・瀉青丸・当帰龍薈丸の類を用いる。

清金制木:肝火が上炎しているにもかかわらずこれを清しても癒え ないようなものは制肝すべきである。金を清することによって木火の 亢逆を制するのである。たとえば沙参・麦門冬・石斛・枇杷葉・天門 冬・玉竹・石決明を用いる。

瀉子:肝火の強いものに心を瀉すことを加えるものである。たとえ ば甘草や黄連。いわゆる『実すればすなわちその子を瀉す』ものであ る。

補母:たとえば水が虚すことによって肝火が盛になっているような ものは、その火を清しても思うような効果をあげることはできない。 腎水を益すような治療をすべきである。いわゆる『虚すればその母を 補う』法である。たとえば六味丸・大補陰丸の類を用いる。これはま た乙己同源〔注:肝腎同源とも言う。基本的には、肝陰である血と腎 陰である精とはお互いに滋養しあうという意味、ともに津液から作ら れるためである。また、肝気を補おうとするなら腎を補い、腎気を瀉 そうとするなら肝を瀉すという治法。〕という意味もある。

化肝:怒りを内にこらえすぎて肝を傷り、気が逆し動じて火となり、 煩熱し脇痛したり、脇満して動血するような症状のものに景岳は、青 皮・陳皮・牡丹皮・山梔子・芍薬・沢瀉・貝母を用いて化肝煎と名づ けた。これは肝経の郁火を清化するものである。

温肝:たとえば肝に寒があり、すっぱいものを吐いて気が上ってい るものは温肝するとよい。肉桂・呉茱萸・蜀椒を用いる。もし中焦が 虚して胃が冷えているものには、人参・乾薑を加える。これはすなわ ち強力に中焦の気を立てる方法である。









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