まとめ





臨床的な実践経験が非常に豊富な医家として二百数十年間称えられ 続けてきた葉天士は、現代にいたるまで非常に大きな影響を中国医学に対 して与えてきました。

彼が残した医案の中からは、彼がいかに多面的に経 絡学説を運用していたか見て取ることができます。

彼は「経脉」を重視していましたが、一般の医家が軽視してきた「絡脉」をも重視し ていたわけです。

邵新甫は葉天士の論病の要点について、『上は心脾が主り、 下は肝腎による。長期にわたるものはすなわち八脉が主るとする』と述べ ています。

この説明は経絡に関するものですが、用薬においては『循経入 絡の品』をよく用いたとされています。







これまで見てきたとおり、葉天士は、古書を自在に運用して融会貫 通させ、もとの理論的な概念を臨床実践と結合させて、まったく新たな意 味を与えた人でした。

しかしこれは、その豊富な臨床実践に支えられては じめて可能になったことです。

またその記載は記憶に従ってなされている ため、古代の著作のどこから引用しているのか、その出処を他人には探し 難くなっています。

しかし我々がなすべきことは、この多彩な葉天士の観 点が実際の臨床とどの程度符合しているか研究するということです。

この ような目的で、弁証論治をする際に使用し易いように配慮したため、引用 文にやや出入りがありますが、これもまたよかれと思って行なったことで す。







【原注:引用はすべて《臨証指南医案》(上海科学技術出版社版)によ っています】









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