経行吐衄の状態と診断






臨床表現



本症状は、月経に伴って現われる衄血および吐血を主証としていま す。衄血の多くは、一般的にはその出血量は多くなく、また数日で出血が 治まります。さらに月経量の減少や無月経を伴ったり、頭昏目眩・口燥口 糜・潮熱・心煩易怒・脇痛などを伴うことがあります。しかし衄血以外の 兼証が現われないこともあります。




診断と鑑別診断



本症状には明確な周期性があり、さらに数日後には吐衄が止まりま すので、このような臨床表現に基づいていれば、確定診断をすることはさ ほど難しいことではありません。しかしもし、月経時期に吐血や衄血がた またま現われた場合は、外感によるものなのかその他の原因によるものな のか、よく考えなければなりません。また、その患者の動態的な観察を行 なうことによって、正確に診断していかなければなりません。ですから、 もし月経時期に発生した衄血であっても、その他の病症によるものでない かどうかということに対して、注意深く鑑別していく必要があります。特 に、肺・胃・喉・鼻など、部位の病変による出血でないかどうかというこ とについて、慎重な鑑別が必要です。









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