閉経前後の諸症の状態と診断







臨床表現



女性の閉経前後の時期には、治療を必要とするさまざまな症状が現 われることがあります。その中でももっとも多いものは、高熱・発汗・突 然熱感が胸や首筋や眼瞼部に現われる・顔面が火のようにほてるといった ものです。また多くの場合これには、発汗と発汗後の寒気を伴います。さ らには、易怒・抑欝感・失眠・健忘・しつこい頭痛・夜間の足跟部の痛み ・朝起きるときの腰痛・耳鳴・倦怠感・腹脹・便秘・小便頻数といった症 状が現われることもあります。これらの症状はただひとつだけが現われる こともありますが、たいていの場合、いくつかの症状が重なって現われま す。

またこの時期には当然、月経の状態も変化します。月経周期が徐々 に伸びていったり、逆に短くなったりして、経血量が減少し、閉経を迎え ることになります。また、月経周期が乱れ、月経周期が遅れ、経血量が増 加し、甚だしい場合は崩漏のような状態となったりする場合や、突然月経 が止まって二度と来潮しなくなる場合もあります。




診断と鑑別診断



閉経前後の諸証が発生する原因は、腎気が衰えて、天癸が竭し、陰 陽のバランスが失調するところにあります。そのため、診断のポイントは 年齢にあることになり、その多くは、45才~55才までの女性にみられ ます。次に、月経周期の乱れがあるかどうかということがポイントになり ます。多くの場合、月経周期が伸びてから徐々に閉経を迎えます。また、 経血の量が多くなり、月経周期が伸びたり、崩漏の状態となってから徐々 に閉経を迎える場合もあります。けれどもこれらは皆な、陰陽のバランス が失調したことによる症候群であるととらえることができます。潮熱・顔 面の紅・高熱・発汗・煩躁・易怒といった症状が、本病の特徴となります。









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