悪露不下




胎盤を娩出した後、子宮内に余分な血液や濁液が留まっていて降ら ず、あるいは降っても非常に少量で、小腹部の疼痛やさまざまな症状を伴 うものを、「悪露不下」と呼んでいます。







産後は子宮内から余分な血液や濁液が排出されていき、だいたい二 三週間できれいになります。悪露がこのように正常に排出されると、子宮 の回復や産婦の健康の回復が順調にいっていることを示しています。

しかしもし余分な血液や濁液が子宮内に留まったまま降らないと、 小腹部に疼痛がおこったりさまざまな症状を併発する以外に、子宮内に溜 まっている瘀血が積結し、癥を形成する原因になります。

また、血が逆して上衝し、頭暈・目眩・悪心・嘔吐をおこさせたり、 甚だしい場合は意識を失って倒れることもあります。

また、瘀血が経絡や関節に流注して、四肢の関節がだるく 痛み、痺れて重だるくなることがあります。

さらに、瘀血が去らなければ、子宮がしっかり閉じないた め、邪毒が虚に乗じて直接陰道や子宮に入り、瘀血と結びついて 産後発熱をおこしたり、甚だしい場合は邪毒が営から血に入って心包に内 陥し、非常に危険な状態を引き起こしたりすることがあります。







ですからこの症状を適切に処理するということは、その後予想され るさまざまな憂いを取り除くことにつながるわけです。

もし悪露がない場合であっても、腹部に痛みや違和感がなく、その 他の症状もみられないようであれば、病であるとは考えません。









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