肝は血を蔵し、疏泄を主ります。その体〔訳注:本体〕は陰で、用〔訳注 :機能〕は陽です。肝が蔵する血は、身体の外部を栄養している以外に、 血海にも注いでいます。そのため、『肝は血海を司る』とか『女子は肝を 先天とする』という説が出てくるわけです。これらの言葉は、肝が血の臓 であり、女性の生理的な活動と密接な関係があるということを示していま す。

肝は「生理」が「定期的に」おこるということに関して、ことに量的な側 面で重要な機能を担っています。肝は、血を蔵しまたそれを疏泄させると いう独特の機能によって、血海に血を蓄め、その血を流させているわけで す。このような肝の機能によって、生理が定期的に始まり、そして終わる わけです。

肝の経脉は、前陰を循り、少腹にいたり、胃を挟んで膈を貫き、胸脇に分 布し、乳頭を経て、頭頂に上ります。ですから、肝と前陰・少腹・乳部・ 胃等とは、生理的に密接な関係にあると考えられます。肝気が疏泄され肝 血が豊かに流れるということは直接、乳汁を調節し、少腹の気血を調え、 陰部の皮膚や毛際を栄養しているわけです。









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