脾と胃





脾は気血を生化させる源であり、水穀を運化して、その精微を輸布させま す。生理がおこり、妊娠して胎児を養うことができ、乳汁が出るというこ とは全て、脾によって気血が化生され、その気血によって栄養されること によって正常に行なわれるものです。脾はまた中焦の気を主ります。血が 経脉に従って循るのは、脾気によって血が統摂されてはじめて行なわれる ことです。生理や・生理的なおりもの・妊娠・出産・授乳といった、生理 的な活動が順調に行なわれることは、脾の生化・運行・統摂といった、脾 の生理的な作用が順調に行なわれていることと密接な関係があるのです。

胃は多気多血の腑です。胃の経脉は下行して気街〔訳注:鼠蹊部〕で衝脉 と会し、血海を満たします。そのため、『衝脉は陽明に隷属する』とか、 『穀気が盛であれば血海が満たされる』という説が出てきます。《景岳全 書・婦人規》にはまた、『衝脉の血は全て陽明によって水穀が化されてで きたものである。陽明の胃気はすなわち衝脉の本なのである』と述べられ ています。胃の水穀を受納して腐熟する作用〔訳注:消化吸収作用〕が正 常に行なわれていれば、気血が充足し、血海が充分に満たされ、乳汁もま た盛に分泌されることになります。これらのことは、生理が順調におこる ということや、乳汁が生成され分泌されるということが直接、胃の気と関 連しているということを示しています。

脾と胃とは互いに表裏関係にあり、その経脉も相互に属絡関係にあります。 脾胃はともに気血を生成し化していく根源となります。このことはまさに 《女科経綸》で言うところの、『婦人の生理と授乳の作用とは、ともに脾 胃によって生じる』という言葉に該当するものです。









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