気血の作用





気血は臓腑の生化によって作られ、経絡によって輸送されます。また 臓腑・経絡の生理的な活動は、気血が充分に養われていることによって正 常に行なわれます。臓腑は気血によって養われて、精を生じ・気を化し・ 血を生じさせます。また経絡は気血に満たされることによって、はじめて 充分盛に流れることができます。血は気によって化生し、運ばれ、調節さ れています。気はまた血によって養われ、制約を受けています。気と血と はこのように互いに依存しており、精と血とは同じところから派生してい ます。《霊枢・本臓》には、『血が和していれば経脉が流行し、人体の内 外陰陽が養われる』とあります。このように気血というものは、人体のあ らゆる生理的な活動の物質的な基礎になります。ですから、生理や・生理 的なおりもの・妊娠・出産・授乳といった女性の生理的な活動においても、 精血が本〔訳注:本体〕となり、気が用〔訳注:機能〕となります。生理 は血が化してできるものであり、妊娠するということは精と血とによって 胎児が養われるということであり、分娩は気によって胎児が押し出される ことであり、分娩の後に血は乳汁に変化して赤ちゃんを養います。また、 血と津液とは名前は異なっていますが同じようなものであると考えること もできます。そのあたりのことを《霊枢・邪客》では、『営気はその津液 を分泌して、これを脉に注ぎ、化して血とする。』と述べています。

このように、女性の生理においても、気血は、あらゆる場面で重要な 概念になってきます。気血は、臓腑を養い・経絡を充たし・天癸をおこさ せ・生理をおこし・胎児を養い・乳汁を生じさせ・津液を供給しているの です。《霊枢・営衛生会》には、『営衛は精気であり、血は神気である。 ゆえに血と気とは名前は異なるが同じ類となる。』とあり、また《聖済総 録・婦人血気門》には、『血は栄であり気は衛であり、陰を循り陽を循る ・・・(中略)・・・内にある五臓六腑、外にある百骸九竅、すべてはこ の気血によって養われている。婦人の純陰は血を本とし気を用としている。 それが上にあれば乳汁となり、下にあれば生理となる。この気血をうまく 養うことができれば営衛がうまく流れて乱れることがないが、この調整に 失敗すれば気血が病んで調和がとれなくなる。』と、気と血とが女性の生 理にとってどのような役割をもっているのか、ということについて述べて います。









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