第 二十六 難

第二十六難




二十六難に曰く。経脉には十二経があり、絡脉には十五絡脉があります。余っている三つの絡脉は、どのような絡脉なのでしょうか。


経脉は縦に流れて定まった道筋があります。絡脉は横に溢れて散じていきます。ある経脉とある絡脉とは互いに通じ合っており、全て絡の交会と関係があります。十二経脉には必ず十二絡脉がある理由です。けれども絡脉には十五種類あるので、三種類の絡脉が余ります。この余った絡脉はどの経脉に属するのでしょうか。






然なり。陽絡と、陰絡と、脾の大絡とがあります。


十二経全てに絡脉があるのは、陰経と陽経とが表裏で交わって互いに通じ合っているからです。余分に陽絡と陰絡とがあるのは、陽の六経と陰の六経とを通会させているからです。また脾に大絡があるのは、中州と四方とを通じさせているためこのように別に一絡を置いているのです。






陽絡は陽蹻の絡です。陰絡は陰蹻の絡です。


人身の陽を総括するものは陽蹻です。人身の陰を管掌するものは陰蹻です。ですからこの二蹻脉を取り、用いているのです。


問いて曰く。任・督を取らずに二蹻脉を用いているのはどうしてなのでしょうか。

答えて曰く。二十三難の度数に任・督・蹻の三脉を挙げています。この三種の脉はともに腎・膀胱から別れたものであり、その原はひとつです。けれども任脉も督脉もただ陰器から頭に至るだけで、上下を貫いてはいません。ですから任・督を取らなかったのです。


問いて曰く。十二絡にはそれぞれに絡穴があります。両蹻脉にもまた絡穴があるのでしょうか。

答えて曰く。絡脉はもともと穴の有無を問題にしてはいません。大きな経脉と互いに通じるということが問題なだけです。十二経に絡穴がある理由は、絡脉の通路上にたまたま取るべき穴があったからです。けれども任・督・蹻は一原ですから、任脉・督脉の絡穴である会陰と長強とを二蹻脉の絡穴とすることもできます。《八脉経》〔訳注:張紫陽著〕に、「陰蹻・陽蹻は尾閭にあり」とあるのがこれです。経脉として区別して任脉と督脉とを出しているのはその経脉が直行しているからです。絡脉は交会することを主としていますので、二蹻脉をあげてその中に任脉と督脉とを兼ね、別掲しなかったのです。






ですから絡脉には十五絡脉があるのです。


経脉や絡脉が絡み合って臓腑と連属し〔訳注:連絡し所属し〕育ちすぎの糸瓜のように全身を網羅しており、交絡している場所の数は数えきれません。ただその綱要として十五絡脉をあげているだけのことです。



一元流
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