第 五十四 難

第五十四難




五十四難に曰く。臓病は治し難く、腑病は治し易いというのは、どういうことなのでしょうか。


この難は生と剋とを臓と腑とに分配しています。前難では生剋をそのまま五臓に配していました。生剋は陰陽の用〔訳注:作用〕ですから、陰陽の変化と同じようにその変が非常に多くなります。






然なり。臓病が治し難い理由は、その勝つ所に伝えるからです。腑病が治し易い理由は、その子に伝えるからです。七伝間臓と同じ法です。


臓は陰です、陰は剋殺の道ですからその勝つ所に伝えます。脾の労倦が腎に伝わると厥逆するといった類がこれです。腑は陽です、陽は生育の道ですからその生ずる所に伝えます。胃病の腹痛が大腸に伝わると泄利するといった類がこれです。邪が浅いものは陽であり、その生ずる所に伝えます。邪が深いものは陰であり、その剋する所に伝えます。必ずしも臓腑の別に拘泥しません、ですから十難では微甚によって臓腑の邪を区別していました。また七伝間臓によるものは、五臓の中の生剋関係です。ですから六腑の中にもまた生剋関係があります。臓病にもまた治し易いものがあり、腑病にもまた治し難いものがあるわけです。



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