下焦精蔵 第七節 生骨黒色




骨は腎に属して北方の水気の黒色を受けているわけですから、その色は黒くなければならないはずです。にもかかわらず死骨をみると真っ白なのはどうしてなのでしょうか。

そもそも生きている人の骨は裏に隠れています。腎水が注いでその水精に浸されている場所の骨の色は黒くとも、死んでしまうとその腎水の湿潤から離れて、腎水が生ずるところの母金の白色に帰るものです。たとえば沙石〔訳注:砂や石〕が水中にあるとその色は薄黒くとも、その水から離れて乾くと白色になるようなものです。ですから人身における骨の色もまた、腎液に湿潤されている生きている人のものは黒くとも、死んで腎液の湿潤を離れて乾いてしまうと白色になるわけです。



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