下焦精蔵 第八節 溺出下竅




泄精と小便とがともに必ず前陰から出るのはどうしてなのでしょうか。自分で心を静めてよくよく思い詰め、広く深く考えをめぐらさなければこの理を理解することはできません。

そもそも人の形質をみてみると、腹は下がり背は上がっています。自分でこれを探ってみると、腰髀の骨は十四椎に属して高く位置し、腹肚の肉は股内に垂れて低く位置しています。鳥獣の類を解剖してみると、腰髀の骨は脊に連なり高くて指が入り、腹肚の肉は陰股に付いて下に垂れています。このことからも腰脊が高く腹が低いということは明らかです。

精と小便とはともに水気です。水の性は順下して低いところに流れます。ですから精と小便とはともに小腹に流れて前陰に出るわけです。膀胱は腎の腑です。小腹に位置して諸腑のもっとも下にあります。ですから水飲がここに滲み入り小便がここから出るのです。小便は、水液が膀胱から出て後陰の前を流れ会陰を通って前陰に下ります。このため、小便をしようとすると必ず小腹が張った後に出るわけです。その出ようとする時に、手で会陰 屏翳(へいえい)〔注:会陰の別名〕を押すと、小便が止まって出なくなることからもこれはわかります。



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