下焦精蔵 第十五節 経水




女子の経水はどの道から余り下るのでしょうか。

任脉は腹裏を流れて諸陰経を総べています。督脉は脊裏をめぐって諸陽経を総べています。衝脉は上下に衝通して諸経の海となっています。この三脉はともに子宮胞中に起こり会陰に行きます。ですから子宮は全身の諸経の血液がことごとく注ぐ場所であり、これがついには陰戸に下り泄れるわけです。これが経水です。







任督衝の三脉は男女ともにあり、男は精室に起こり女は子宮に起こるだけの違いなのですから、男子にもまた経水があってもよいのに女子だけにこれがあるのはどうしてなのでしょうか。

男は天に対応し、女は地に対応しています。天は無形の気で満ちて、地は有形の湿潤で溢れています。ですから女子は血液で満ちあふれていて、経水にその余りが下るのです。たとえば、河 海 流 水は、地に存在し、これが乾いて涸れることがないということと同じです。あるいは千万人の中には一生経水がないものもいます。これは陰気が閉塞した女の「変」であり、俗にカラオンナと呼ばれています。医書にいうところの暗経です。閉塞している陰体は、資【原注:たまわり】て生ずるところがなく、経水もありませんが子供もできません。常道ではありません。

女子は陰気が盛んな身体ですので、経水が下ります。その有余が現れているわけです。男子は陽気が盛んな身体ですので、その有余の気もまた泄れるはずです。どうして男子の有余の気は女子の経水が漏れるようには現れないのでしょうか。

これもまた陰は有形で陽は無形の論です。女子の陰気有余は形があってその漏れるものも経水として現れるわけですけれども、男子の有余している陽気は無形なため、その有余が漏れているところも眼前にはっきりとは現れません。ただ昼夜の間、鼻口などの中からその気の有余を漏らし出すだけです。このため、男には気虚が多く、女には血虚が多いのです。



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