下焦精蔵 第十六節 子宮




《難経》に、『腎に二つあるのは両方ともが腎なのではありません。左を腎とし右を命門とします。命門は男子は精を蔵し、女子は胞を懸けます。』と述べられています。胞とは子宮のことです。書かれていることは、精液はただ左腎に蔵され、子宮は右腎の内に懸けられているように見えますけれども、越人の意図はそうではありません。男は精気をもっぱらとし、女子は子宮をもっぱらとします。それぞれ重んずるところのものを述べているだけのことです。子宮は右腎のみに懸けられていることがあるでしょうか、精気がどうして左腎にだけ蔵されているわけがあるでしょうか。精気は常に両腎に蔵され、子宮は両腎の間に懸けられています。

子宮はもともとは小さなものです。胚胎が蔵されると経水が止まり、胎を養って徐々に象形を生成していきます。その象形が生長するに従って子宮もまた膨張するので、胎を蔵することができます。出産し終わると、子宮もまた縮小してもとのように収まります。



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