下焦精蔵 第十七節 胞衣




胞衣は俗にエナと呼ばれています。これはどこから生じたものなのでしょうか。

男子の一滴の精液が、子宮に始めて凝る時は、女子の経水がこのために止まって、その精胎を包養し、男女の象形を生じます。胞衣や男の精がその子宮に止まっている間、胎息が〔訳注:胎児が子宮内で行なっている呼吸が〕始まるに従って、徐々に上に先に一片の浮皮を生じます。これを胞衣と呼んでいるわけです。たとえば膏を煉熟すると〔訳注:油を温めていくと〕表面に浮皮が張ってくるようなものです。人の形ができる前です。ですから児の頭にこれを戴くわけです。

また児の母の腹には、胞衣から出て臍に連なる一筋のものがあります。これを臍帯と言います。母の水穀血液の濁気は胞衣で防ぎ、その清精の気は臍帯を伝わって胎を養っているわけです。



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