下焦精蔵 第十九節 経水非瘀血




婦人の毎月の経水は瘀悪の血なのでしょうか。

そもそも婦人の毎月の経水は、全身を順流している有余の血液が子宮に流れ集まって下るものです。どうして瘀悪の血に属することがあるでしょうか。経水がもし悪血でこのように月々溜まるものであれば、必ず常に病患を持っていなければなりません。ですから、経水に下るところの血は、悪血ではないわけで、月々にこのように溜まるところの血があるとはいっても、常に病患になってはいません。反ってこれが下ることを平人としているわけですから、瘀悪の血ではないことは明らかです。

男は天に象る気道です。女は地に象る潤道です。たとえば地中に常に河 海 水 流の溢湧(いつゆう)〔訳注:溢れ湧き出るさまざまな水〕しているように、婦人の血液は有余して経水に泄れ下ります。地における河 海 水 流が溢湧することが、どうして濁悪の水であると言えるでしょう。

また右に弁じているように、女子は毎月経水があり、その血の有余を泄らし下します。男子は無形の気が有余してこれを泄らしますけれども、無形ですから泄れる分量が女子のようにははっきりとしていません。けれども女子に気鬱の病が多く、男子に気鬱の患いが少ないわけですから、男は気が有余しているとはいっても、その気が泄れるところがあると考えなければなりません。



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