下焦精蔵 第二十節 子門




子宮の下口はいつも閉塞しています。経水が通じる時であっても、その下口は閉じていて開いてはいないものです。ただ身体の動作に従って子宮の中の血液が徐々にその下口の閉塞している間隙から泄れ溜まって、経水として下ります。

経水が下っている間は交会があったとしても妊娠しない理由は、月経が流れ下る勢いが強いために男精を受け止めることができないためです。

子宮の下口はいつも閉塞していますけれども、交会の間や感気が甚だしいときは、子宮の下口も感気に乗じて自然に開きます。この時、もし男精がその子宮に射れば、開いた子門もまたもとのように閉塞して、月経が止まり精を封じ包んで養い、胎を育てていきます。八九月から十一二月まで、その出産には遅速がある理由は、草木の果実が時期やその質の剛柔によって、早く熟して落ちるものがあり、また遅く熟して落ちるものがあるのと同じことです。父の精や母の血の虚実や、天気自然の運行によって、出産に遅速があるだけのことです。

けれども十月()たずに出産する場合は吉兆ではありません。母の血の養育を充分に受けてその子が健やかであれば、出産もまた安全なものです。



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